呉林抱月 "コンビニ人間" 2026年2月3日

コンビニ人間
コンビニ人間
村田沙耶香
オーディブルで。描写の仕方からも、オーディブルの読み方からも、恵子さんは共感性が乏しく、精神を持たないような第一印象を受けた。  しかし、彼女は徐々に、「光で満たされた箱」の整理された明快なマニュアル・予定調和の世界に慣れ、受け入れられているという安心感を基礎に、こうしたい、ああしたいという意欲を静かにたぎらせてゆく。タイトルがコンビニ「人材」でなく、コンビニ「人間」となっているのは、こうしたマニュアルを身につけた先に、意欲や知性を発揮する恵子さんの生き方を描いているという主張だと思う。  高度にマニュアル化、マネージメントされた社会にいきる私たちは、大きな強いものが決めたルールの中で、それらに消費されるだけの人材、つまり「社会の部品」となるのではなく、生まれ持った個性や時間をかけて練り上げた知性を発揮することが十分に可能なのだ。
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