こよなく "この世界からは出ていくけれど" 2026年2月4日

こよなく
@funyoi
2026年2月4日
この世界からは出ていくけれど
この世界からは出ていくけれど
カシワイ,
ユン・ジヨン,
カン・バンファ,
キム・チョヨプ
私たちは、人種や宗教、思考、価値観、認知、時間など、自分だけの宇宙を持っていて、相手のことを理解できないかもしれない。それでも、ある一点で触れ合える瞬間があるかもしれない。たとえそんな瞬間が訪れなくても、理解できない、その状態のまま相手を受け止めたらいい。 こうした考えは、ここ数年ずっと自分の頭の手前に置いてきた概念で、本作を楽しめたのは必然だった。むしろ、著者がこの数年一貫してこのテーマに向き合ってきたことに驚いた。 もしかするとそれは、世界的なポピュリズムの台頭への反発や、インターネットの普及によってあらゆる価値観が可視化された、時代状況の反映であり、わたしたちに広く流行してる思想なのかもしれない。「私たちは見えているものが全然違う」という出発点だったのに、感想を言葉にするうちに「私たちは同じものを見ている」という話に書き換えてしまった。 個々の作品では、『プレスシャドー』と『認知空間』が特に好きだった。 『プレスシャドー』はラストで当然泣いたし、ジョアンの好きな匂いの意味が[靴下]だった場面が最高。なんでもかんでも、意味や言葉に回収しなくていいのだ。 『認知空間』は、インターネットやAIの限界を描いてると思ったし、人間賛歌だった。私たちがそれぞれ固有の記憶や感覚、感情を持っていることは、やはり尊い。
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