みっつー "ももこの世界あっちこっちめぐ..." 2026年2月4日

ももこの世界あっちこっちめぐり
おもしろいものは好きだけど「抱腹絶倒」という言葉をあまり信じていない。 「腹」を「抱」えて「絶」対に「倒」れる、と書いて「抱腹絶倒」である。こんな誇大広告はない。特撮番組などにおける「必殺技」が「必ず殺す技」なのに「必ず殺せてないやん」みたいな小学生じみた物言いになってしまったけれど、ちょっと「抱腹絶倒」はねぇ…「抱腹絶倒」かぁ…。 コメディ映画の宣伝文句などによく使われるワードだけど、実際にそれで腹を抱えて笑った記憶がそれほどない。個人的には「帝一の國」と「明烏」という映画はかなり笑ったけれど、それは僕自身が菅田将暉に一定以上の安心感を持っているというバイアスがかかっているということも否定できない。好き、菅田将暉、好き。小松菜奈も好き。 今回はさくらももこさんの『ももこの世界あっちこっちめぐり』という本を読んだ。 そして、裏表紙にはこんな言葉が…! なんと!!!!!「抱腹絶倒」の文字があるではないか…!!!!! 以前にも書いたけれど、僕は疲れてくると旅行エッセイが読みたくなる。週に1回は読んでいるから週に1回以上は疲れていることになる。 そんな疲れた脳でも敏感に反応を示してしまう「抱腹絶倒」の文字。 さくらももこさんがエッセイを書いていることは知っていたけれど、まさか「抱腹絶倒」なんて煽り文を書かれてしまっているなんて、さくらももこ側のプレッシャーを考えたことはあるのだろうか。 もし自分のゲーム実況チャンネルが、 「今YouTubeで一番アツい!抱腹絶倒の爆笑ゲーム実況者!みっつーちゃんねる!」なんて紹介されてしまった日には顔と名前を変え、偽造パスポートを発行し、海外逃亡を計り、誰も知らない、知られてはいけない全くの別人として過ごすハメになってしまうだろう。でもネットの活動ってそもそもハンドルネームだし実名変えても関係ねぇや(((o(*゚▽゚*)o))) そんな集英社文庫から重たいプレッシャーをかけられてしまったエッセイのページを僕はドキドキしながらめくっていった。 気づけば、僕は腹を抱えて笑っていた。 読み始めて10分もかからないくらいで笑っていた。 遅めの昼食を、ムラノ島の中にある小さなレストランの庭のテーブルで食べることにした。私はまたスパゲッティを注文した。イタリアに来たからにはできるだけ本場のスパゲッティを食べたいという気持ちがあったのだ。インドならカレーだし、大阪ならたこ焼きだし、荻窪ならラーメンだ。 さくらももこ著『世界あっちこっちめぐり』p.38 言い方はアレだけど、なんでかちょっとずつスケールダウンしているのが面白かった。 「インドはカレーだよねぇ」 「大阪はたこ焼き…ま、だよねぇ」 「荻窪…あ、そうか、ラーメン、有名…だっけ?」 みたいなスケールダウンのコントラストが見事である。本人にそのつもりがあったから知らないけれども。 その他にも、 ゴレンの意味するところは恐らく「焼く、いためる」という事であろう。だからといって、焼きイモがスイートポテトゴレンと言えるかどうかはわからない。 さくらももこ著『世界あっちこっちめぐり』p.54 ナシゴレンや、ミーゴレンの「ゴレン」の意味合いを考察していた文章なのだけれど「スイートポテトゴレン」の語呂の良さよ。 声に出して言いたくなる言葉である。 「スイートポテトゴレン」 まさかの、ちゃんと抱腹絶倒させてくれる仕上がりになっていて、僕は度肝を抜かれた。そうか、裏表紙の煽り文は、間違いなく集英社の編集の人たちが腹を抱えて笑い、その経験から書かれた「抱腹絶倒」だったのである。 ももこ側にプレッシャーはやはりあったかもしれないけれど、少なくとも僕の「そんなことある?」という懐疑的なハードルは優に超えてきたのが、僕にとって初めての「さくらももこ」によるエッセイだった。 他のシリーズも絶対読もう。 は〜、笑った笑った。
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