読書猫 "ペドロ・パラモ" 2026年2月2日

読書猫
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2026年2月2日
ペドロ・パラモ
ペドロ・パラモ
フアン・ルルフォ,
増田義郎,
杉山晃
(本文抜粋) “「この町はいろんなこだまでいっぱいだよ。壁の穴や、石の下にそんな音がこもっているのかと思っちまうよ。歩いていると、誰かにつけられてるような感じがするし、きしり音や笑い声が聞こえたりするんだ。それは古くてくたびれたような笑い声さ。声も長いあいだに擦り切れてきたって感じでね。そういうのが聞こえるんだよ。いつか聞こえなくなる日が来るといいけどね」” “空気がほしくて外に出た。だが、暑苦しさは依然として体にまといついて離れなかった。 というのも空気がどこにもなかったからだ。八月の酷暑に熱せられて、けだるい淀んだ闇しかなかった。 空気がなかった。口から吐き出される息が四散しないうちに手のひらでおさえ、もう一度吸い込まねばならなかった。そうやって吐いたり吸ったりするうちに空気がだんだん薄れていった。とうとうかすかになったいきまで指の間から洩れて、永久になくなってしまった。 そう、永久になくなってしまったのだ。” “男たちが行ってしまうと、おまえは、ひざまずいて、母さんの顔が埋まっているあたりの地面に口づけした。もしわたしが声をかけなかったら、おまえはそこに穴まで開けてしまったかもしれない。「行きましょう、フスティナ。母さんは別のところにいるのよ。ここにあるのは、ただの死んだ体なんだから」”
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