読書日和 "水車小屋のネネ" 2026年2月6日

水車小屋のネネ
水車小屋のネネ
津村記久子
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉。 ネネに見守られながら、変転していくいくつもの人生。 助け合い、支え合う人々の40年を描いた長編小説。 図書館で長く長く順番待ちをして、 ようやく私のところに回ってきた一冊だった。 1981年から2021年までの40年間、 ある姉妹の人生が丹念に描かれている大作なのに、 通勤電車で1週間、夢中になって読んでしまった。 この本のテーマは「善意」だと思う。 悪い人は出てこない。 物語のはじめ、姉妹は周囲の大人の善意を受け取る側にいる。 でも、べたべたに甘えることはなく、 淡々と、自分たちにできること、やるべきことを必死にこなしていく。 各章は10年ごとに切り替わり、 姉妹が受け取った善意は、次の誰かへと静かに引き継がれていく。 派手な出来事はない。 けれど、物語の隅々まで、押しつけがましさのない善意が行き渡っていて、 読んでいるこちらの心まで、少しずつ整えられていく。 先月から仕事で、生活も心も荒れ荒れだったけれど、この本に、確かに救われた。 特に心に残った部分、2か所だけ厳選で記録。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」 「自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。だから誰かの役に立ちたいって思うことは、はじめから何でも持ってる人が持っている自由からしたら制約に見えたりするのかもしれない。けれどもそのことは自分に道みたいなものを示してくれたし、幸せなことだと思います」
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