"ふたつのしるし" 2026年2月6日

吹
@ojamimi
2026年2月6日
ふたつのしるし
好んで遅いわけではない。だけど、もしも選ばせてもらえるとしても、やっぱり遅いほうを選んだような気がする。遅くてもいいと思っている。早くても、遅くても、結局は同じ場所にたどり着くのではないか。 がっかりすることになるかもしれない。もしかしたら、がっかりするために行くのかもしれない。東京に来たら人生が開けるとか、翼が生えるんじゃないかとかどこかで思っていた遥名の、そういう妄想と同じ部屋に、埃をかぶって放置してあったディスコだ。今ここで、燻る火にじゅっと水をかけてしまえばいい。 「お茶を飲んでいかない?」 驚いて、仲村の顔を見る。少しはにかんだような目がやさしくて、素敵も、きれいも、すごいも、しあわせも、封印を解かれて遥名の胸をぐるぐるめぐる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 気になっている本を探しているふりをしながら なんか違う…今じゃない…と、本屋さんの書棚の前をうろうろと徘徊していた。半分諦めかけて 最後にレジ前のコーナーを眺めていたら、この本と目が合った。それこそ、しるしを見つけたような気分だった。 北に向かう高速バス 雪のふりつもる景色を時折眺めながら、ものの2時間ほどで読み終えてしまった。そのくらい、今のわたしにぴったりな本だった。本編は勿論のこと、高橋尚子さんの解説文に心から感動し、思わず涙が零れた。 心から、この作品に、この文章に出逢えて良かったな。
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