
和月
@wanotsuki
2026年2月7日
ブレイクショットの軌跡
逢坂冬馬
読み終わった
分厚い本なのに読み始めるとするする進む!
5章あたりからはこの先どうなるかが気になりすぎて、一気読みしてしまった。
ふわっと登場人物同士が交わる連作短編集とは違い、誰かの行動が誰かの未来を動かして、それが連なっていく。現象としてはバタフライエフェクトに近いんだけど、相互的に連動している場面も多々あり、最後まで読むと複雑な相関関係に改めて驚かされる。
俯瞰して複数人の人生を見ることが出来るとしたら、案外現実もこういう構造なのかもしれない。
架空のSUV(車)がタイトルになっているので、基本自動車業界をメインに話が進むのかなと予想していたが、良い意味で早々に裏切られた。
7割くらいは資産や金銭が絡む内容。国内ファンドや投資用マンション、マネーセミナー等がっつりと現代日本のお金の話をしていて、それ以外にも低所得層と富裕層の格差が示されていたりとなかなかに骨太な題材。
他方で、人間の多様な在り方や貧富の差では測れない人の幸福についても絶妙なバランスで組み込まれていて、専門的な知識が乏しくても読み進めたくなる。
私自身、薄らとした金融知識だけでは難しい箇所も多かったけど、調べながら読むと色々な知識が身につく感覚がして面白かった。カモにも七面鳥にもなり得る自覚を持って生きたい。
現代日本の諸相を描きつつ、間に4回挟まる話もかなり面白かった。むしろ段々そっちの方がどうなるの!?と続きが気になって仕方なかった。
エピローグは、これまで様々な形で提示されていた伏線が綺麗に回収されていてとても心地よい。さながらビリヤードの終盤、ボールがポケットに次々と吸い込まれていくような気持ち良さがある。最後まで気付かず、あっそうだったんだ!?となり慌てて該当シーンを読み返したりしてそこも含めて楽しかった。
同志少女もまだ読めていないので、これを機に逢坂さんの作品を読み進めたい。



