
みっつー
@32CH_books
2026年2月9日
断片的なものの社会学
岸政彦
読み終わった
今日もどこかで、誰かが笑って、泣いて、怒って、涙を拭いて、恋人と付き合って、別れて、決心をして、挫折して、諦めて、遊んで、学んで、新しい命が宿って、失われている。
テレビやSNSを見ていても、世界は広いなぁと考えたりするけれど、実際にはスポットライトが当たることもない、誰からも知られない物語が、そこら中で、たくさん、紡がれている。
その、顔も知らない誰かを知ろうとすることは、誰かにとっては恥部を晒すことであったり、時には救うこともあるかもしれない。
けれど、私たちは、知った気になって、他人をラベリングしたり、思い込んだりして、「あの人とは関わらない方が良い」と思ったり「あの人とは気が合う気がする」なんて思ったりする。
この本はそれらの正解を得るための本ではなくて、ただそこにある、愛おしくも、鈍い輝きを放ち続ける人々たちの記録だ。
顔も知らない人たちの物語は、気をつけて見ていないと、対岸の火事のようにボーッと眺めるだけになってしまう。自分のところは安全だと、心のどこかで思ってしまう。
火の渦の中を、目を凝らして、覗き見る。
何が燃え、火の周りに誰がいて、出火の原因を考えてみる。
何ができたのか、何もしない方がよかったのか、その選択を毎日考える。
誰かの物語を想像し、自分もまた誰かの物語になる。
人と人との繋がりは、こうした思考の果てに構築されていくのかもしれない。





