断片的なものの社会学

148件の記録
- はるのひ@harunohinouta2025年7月11日読んでる心に残る一節「普通であることへの意志」の章に出てくる「ラベル」と「無徴(むちょう)」の話をすぐに理解できる(実感として分かる)のは、やはり私が女性という1つの「ラベル」を持って社会で生きているからなんだろう。 "もちろん私たち男は、さらにその「どちらかの性である」という課題すら、免除されている。私たち男が思う存分「個人」としてふるまっているその横で、女性たちは「女でいる」" (P.171) 大学生までは自分がラベルを持っていることを意識せずにいられた。社会に出た途端に、こちらは会社で男性と同様に「社員」として働いているつもりなのに、ことあるごとに「女性社員」であることを強調されてラベルを貼られて扱われて、本当に衝撃だったし息苦しかった。 女性であることは一生付き合っていくしかないラベルなわけで、そろそろ日本社会がいい感じに変わって欲しいと切実に思う。 もちろん少しずつ変わってきてるとは思うけど、やっぱり政治が全然追いついていない現状(と今後数十年は大きな変化が望めなさそうなこと)はわりと本気で絶望的で、女性としてとてもしんどい。
- r@teihakutou2025年7月7日再読中6年くらい前に読んで好きだった本をなんとなく再読している。しばらく海外に行くという時に向こうで読めるように電子で買ったので、初読時のマーカーが急に現れてびっくりする。 今のわたしならここにはマーカー引かないな、引くならここだな、などと思いながら、実際にはマーカーを引かず、昔のマーカーも消さず、読んでいる。
- aio@icecreamread2025年7月5日読み終わった不思議な読書だった。 社会学者としてフィールドワークをしている著者が、研究にはならない断片的なものをまとめようというつもりで作った一冊だ。 普段目にしない、言ってしまえば「えっ」と思ってしまうような人たちの話が、断片として私に問いかけてくる。 風俗、外国人労働者、セクシャルマイノリティ、日雇い労働者、ホームレス、犯罪者、、、 当然のように存在するものとして、この本ではそれらが書かれている。そのように書いているのだと思う。それが、この本を読む推進力となってくれていた。 私たちの社会は多様性を認めるような方向に本当に向かっているのか?作者はあとがきで「多様性を認めない社会になっていっている」と書いている。確かにそうかもしれない。多様性が礼賛されればされるほど、私たちは狭苦しい世界を生きているのかもしれない。私もいつも、どうしたらいいかわからないままだ。 個人コセンスにメモあり
- はるのひ@harunohinouta2025年7月3日読んでる半分以上読み進めたところ。 『笑いと自由』の章で泣いてしまった。泣くまでの心の動きはうまく説明できないけど、そういう力のある文章だった。この文章に揺さぶられる要素(思いや記憶)が私の中にあるということ、その複雑な尊さ。 『手のひらのスイッチ』の章で語られている(誰かの)幸せが(誰かへの)"暴力"をともなう、という視点もすごく分かるし、最後の一文も本当にそのとおり…
- はるのひ@harunohinouta2025年7月2日読んでる心に残る一節1/3ほど読み進めて、不思議な本だなと思う。面白い。 "私たちの自己や世界は、物語を語るだけでなく、物語によってつくられる。(中略) 物語は、「絶対に外せない眼鏡」のようなもので、私たちはそうした物語から自由になり、自己や世界とそのままの姿で向き合うことはできない。"(P.61-62) どんな時も自分から離れることはできない、どうあっても自分は自分から見る世界とそこから得た言葉や思考の中でしか生きられない、ということについてたまに思うので、この"絶対に外せない眼鏡"という表現がすごく分かるなと思った。 "四角い紙の本は、それがそのまま、外の世界にむかって開いている四角い窓だ。"(P.82) すごく共感すると同時に、ちょうどいつもと違う姿勢でイスに座り何となく部屋の出窓の方を向いて本を顔の高さまで持ち上げて読んでいる時にこの文章を読んで、四角い本の向こうに本物の四角い窓がある構図に思わず笑ってしまった。
- はるのひ@harunohinouta2025年6月30日読み始めたひとまずイントロダクションを読んだところだけど、もう面白い。 Xで岸先生がご自分のポストに付いたコメントをリポストしたり何かしらこまめに反応しているのを見ていて、それがすごく"社会学者"さんぽい行為だなとずっと興味深く思っていたんだけど、ただ本当にそういう第三者が発する言葉が(それに深い意味があってもなくても)好きなんだろうなぁ。
- 見汐麻衣@mai_mishio2025年6月26日読み直す何度も読み返すとき、適当に開いたページだけを読むようにしている。 今日、142ページ。 その言葉が今の自分にピタリと吸い付くことが多い。本の不思議。
- aio@icecreamread2025年6月26日読み始めたずっときになっていた本。 小石を拾ってそれが無数のうちの小石であり、それがどの小石とも違う「この小石」であることに陶酔する描写があるのだが、ものすごくよくわかる。このことを私は短歌にしたことがあり、ここに書いているようなことを歌にしたかったのだ、と思った。
- りな@rina2025年6月14日読み終わった出来事や他人の物語を通して見えた感覚や考えを繋ぎ合わせて、絶望も希望も掬い出す力。 ただのエッセイじゃない、バラバラのエピソードから著者の意図がちゃんと伝わってくる、光に満ちた本。
- とむ@tom_books2025年5月31日読み終わった再読@ 自宅『だが、世界中で何事でもないような何事かが常に起きていて、そしてそれはすべて私たちの目の前にあり、いつでも触れることができる、ということそのものが、私の心をつかんで離さない。(中略)そして、だからこそ、この「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」語りは、美しいのだと思う。徹底的に世俗的で、徹底的に孤独で、徹底的に厖大なこのすばらしい語りたちの美しさは、一つひとつの語りが無意味であることによって可能になっているのである。』
- 朝日出版社@asahipress2025年5月23日出版社よりたとえば誰かが死んだ知らせを受けたとき、幸せな人生だったな、とか、波瀾万丈でかわいそうな人生だった、とか考えることがよくありますが、他人の人生なんて勝手に理解できるわけない。物語にして納得するのはラクだし簡単なことですが、もしかしたら世界を狭めているのかもしれません。 この本を読んだ後は、道に落ちている石ころが輝いて見える、いやそれも違います、石が「ただある」、そのことの驚きを感じることができる、そんな一冊だと思います。 著者の他の本では『街の人生』(勁草書房)も忘れることのできない一冊です。こちらもあわせておすすめします。
- 綿@shelf_soya2025年5月17日読み終わった語り口がかなりしっくりくる。「手のひらのスイッチ」の幸せのイメージとされる規範の暴力、それに縛られて生きること、しかし一体どれだけ「個性的」でそこから規範から離れた「孤独」を選択できるかというエピソードが、自分が考えていることの延長にある話で、ここに読みたいことが書かれている、という気持ちになった。
- とむ@tom_books2025年5月13日再読中読み始めてすぐ、数年前最初に読んだ時と明らかに感じ方が違うことに気づいてびっくりした。別人になったは言い過ぎだとしても、毎年ただ数字を増やしていっているだけではないんだなとこんなところで実感する。
- リチ@richi2025年4月30日かつて読んだ心に残る文も多く、本が栞だらけになってしまった。孤独や、差別、暴力、幸せ、居場所、などなど、様々なことが、本を読み進める流れに乗って自然に考えが深まる気がする。こう書くと何か難しそうなのだが、全く難しくない(それは丁寧に言葉を尽くして書かれているからだ、と思った)、というところだ。
- こまつな@komatsuna2025年4月29日読み終わった新幹線、地方のローカル電車内で読んだ。合ってた。 ラベルをなかったことにするのではなくて、「ラベルとともに生きる」のは、心の中の特に汚い感情と常に対峙し続けなくてはいけないし、その汚い感情の存在を常に認めなくてはいけないから、すごい辛いしみすぼらしいしむずかしい
- はるのひ@harunohinouta2025年4月24日気になる読みたい買った去年の春にXで突然流れてきたかわいい子犬(ちくわちゃん)きっかけでフォローした社会学者の岸政彦先生。ご著書も気になってたけどここ数年読書欲が低めでなかなか手が伸びず…でも最初に読むならこの本がいいなと思ってた。読書熱が戻ってきたので満を持して購入。 ちなみに今年の1月に『文藝』2025春号に掲載されたエッセイ「犬は自転車」で初めて岸先生の文章に触れて、とてもよかったし好きな文体だったから他のご著書を読むのがさらに楽しみになった。
- 清水美穂子@favoriteworks2025年3月29日かつて読んだ閉館後の図書館で、本の森を散歩する『ナイト ライブラリー』のイベント2回目。図書館員の気になる本のなかに、この本があった。 この本を読んだとき、心に残る話がたくさんあったのだけど 「幸せというものは、そこから排除される人びとを生み出すという意味で、同時に暴力的でもある」というのがハッとする言葉だった。でも、 「完全に個人的な、私だけの『良いもの』」なら、誰を排除することもないのだ。 なにかに傷ついたとき、黙ることも怒ることもできるけれど、笑うこともできる、というのもよかった。 それから、岸政彦さんの本を読むようになったのだったかな。
- 五日@itkkti_19862025年3月26日買った読み終わった人生は断片的な出来事が連なってできている。一つ一つの断片からその人を読み解けるわけではないし、何があるわけでもない。それなのに著者の語りによってその断片は歪なまま乱反射して光る宝石のようにも見える不思議。とりあえず1/4ほど読んだ。 4.12 追記 なんでもない断片をかき集めた我々の人生は、「かけがえのないもの」でもなんでもない。しかし、なんでもないからこそ、投げ捨てたり、疎かにしたり、あり得ない判断をしてしまったりすることができるし、だからこそ得られる煌めきがあること。
- Miharu@mhr0232025年3月15日読み終わった大切な本@ CHIENOWA・BOOK・STORE大学生の時図書館で借りてすごく良くて、いつか絶対買おうと思っていた本。地元の本屋さんで見つけて買った。素敵だなと思った装丁が鈴木成一デザイン室だった時の嬉しさ。 「ユッカに流れる時間」の話がなぜかとても印象に残っていてたまに思い出してしまう。
- amy@note_15812025年3月14日かつて読んだ感想この本に綴られている取り留めのない、ゆらゆらと揺蕩って流れているような誰かの日常の断片と岸先生の距離感がすごく心地よかった。いまはSNSで何かに対する意思や意見を表明することが求められていて、述べることの根拠や理由なども考えて一生懸命に140字や数百字に詰めることを構築しなければと切羽詰まっていたのだなあと思い知らされた。隙間というか余白のある場所というものが少なくなってきて、そういう場を脳内に作ってくれるような本は貴重だ
- 夏海@72noumi2025年3月10日読み始めた読み終わった@ 自宅どっちがいいということではない、ただ〜というだけである。という言い方がたびたび出てくる。他人の話を多く聞けば聞くほど、理解しようと思えば思うほど、断言できないことばかり増えていく。疲れたときには、このくらい曖昧な言葉に救われることもある。
- アキ@aknmnr01412025年3月10日心に残る一節断片的な人生の記録を、それがそのままその人の人生だと、あるいは、それがそのままその人が属する集団の運命だと、一般化し全般化することは、ひとつの暴力である。
- comi_inu@pandarabun2025年3月7日かつて読んだオールタイムベストこれを読んだときに坂口安吾の『文学のふるさと』を思い出した。 「生存の孤独とか、我々のふるさとというものは、このようにむごたらしく、救いのないものでありましょうか。私は、いかにも、そのように、むごたらしく、救いのないものだと思います。(略)モラルがないということ自体がモラルであると同じように、救いがないということ自体が救いであります。 私は文学のふるさと、或いは人間のふるさとを、ここに見ます。文学はここから始まる――私は、そうも思います。」 文学になる以前の物語の断片、生存の孤独がここにはある。そしてその生々しさを真摯に集め、考える学者がこの世にいる。 この作品を読めば、ごく個人的で誰も知る由のない出来事たち、意識した瞬間に意味を持たなくなるような事柄たち、夥しい数の人間のひとりひとりの中に込められたとるに足らない物語たちの結晶体がわたしたちが生きるこの社会であるのだとよくわかる。 確かに社会学の本である。社会学の本でありながら、ああ人間って、人生ってそうだよなあとしみじみさせる一冊でもある。 道端に置かれた巨大なアロエの鉢に水をやるひとがいるのだと、そう考える時間をくれた作品だ。
- renterao@_balaclava_mag2025年3月6日読み終わったとある日、諸事情で家に入れなくなってしまった。 読書しながら開錠を待とうと入ったのは、正月の夜、人が多くも少なくもないファミレス。 シチュエーションは、言い過ぎかもしれないが、この本のささやかな感動と運命じみたリンクを感じた。 という思い出も含めて、良い本。
- 白川みどり@midorishi_2024年8月27日かつて読んだ優しさってなんだろうってずっと考えてた。この本かもしれないと思った。岸さんは「ほんとうにどうしていいか分からない」と言う。暗い海の中を潜りながら、揺れ惑う。正しさとか普通とか幸せとか、そういった規範から排除されてしまう人々のことも、その規範の中で生きている人々のことも、誰のことも置いていかない。
- 空気@lumemolle2023年4月8日徹底的に世俗的で、徹底的に孤独で、徹底的に厖大なこのすばらしい語りたちの美しさは、一つひとつの語りが無意味であることによって可能になっているのである。p39 「被害者」のようなものになっていく。〜「抵抗者」になっている。不謹慎な笑いは、人間の自由というもののひとつの象徴的なあらわれである。p101 そもそも幸せというものは、もっとありきたりな、つまらないものなのではないだろうか。p116 自分のなかには何が入っているのだろう、と思ってのぞきこんでみても、自分のなかには何も、たいしたものははいっていない。ただ、そこには、いままでの人生でかきあつめた断片的ながらくたが、それぞれつながりも必然性も、あるいは意味さえもなく、静かに転がっているだけだ。p193