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@433
2026年2月17日
毎月新聞
佐藤雅彦
読み終わった
冷蔵庫に入れっぱなしで皮がごわごわになった柑橘類を見ると「オレンジの皮」の話を必ずといっていいほど思い出す。友だちにこの話をすると"わかる"と言う。
20代だった自分たちに妙な感動を与えたこの話を含む、佐藤雅彦の個人的な出来事を書いたこの小さな新聞は、毎日新聞に掲載されたコラムを一冊の本にまとめたものだ。
当時は「そういう見方があるのかぁ」とその視点そのものに面白味を感じていたが、
15年経って読み返すと「壊れた間合い」「ちょいちょきらっぱっぴ」など、世界のズレを取り上げたものが笑いを誘うようになった。
「真夏の葬儀」「取り返しがつかない」は人が死ぬという、当たり前の、でもとても重大な現実の欠けに深い感慨が生まれるようになった。
大人よりも子どもは感受性が強いと一般には言われるが、むしろ、大人になった今の方が強くなってるように感じる。安易に言葉にしないだけで。
話は少しそれるが、色んなテーマの話を読んで、言いたいことを言うのは明快だけど、伝えたいことというのは言葉を尽くしさないと伝わらないものなんだなと思った。そういう輪郭が曖昧なものが伝わってくること自体、自分でも無意識に抱えてる感情が、実はたくさんあるんじゃないかと思った。
久しぶりにページをめくって、当時の自分と今の自分を対話させる時間が持てたことは、この本に感謝です。