
torajiro
@torajiro
2026年2月7日
舞台
西加奈子
読み終わった
西加奈子さん、初読み。
太宰治『人間失格』に心酔する主人公の葉太は、非常に自意識の肥大した若者。常に周囲の目からどう見られるかを意識して場に、自分に相応しい姿を演じようとする振る舞いには私もよく思い当たるものがあるし、何より私も中学生で出会った『人間失格』に衝撃を受けて「これは自分の話だ」と思った類の人間なんだけれど、葉太にはそこまでの共感がなくて、なんというか自分がもう若者を通り過ぎてしまっていることを再確認させられた気がする。若者として読んでいたら「これは自分のことだ」と感じたんだろうか。
葉太は人間失格の葉蔵的な人間を現代の若者(令和ではなく平成)に落とし込んだ姿とも捉えられるが、酒や薬、そして男女関係に溺れていった葉蔵に対して、ニューヨークへの初海外ひとり旅で陥った窮地の中で葉太の葛藤の源泉が主に父との確執であり続けたという辺りは現代の若者のどのような点が表れているのだろうかという辺りも気になった。他にも『人間失格』との対比に触れだすとキリがないのでこの辺で。
本作のタイトルにもなっていて、葉太が傾倒している作家の作品である『舞台』には何が書かれていたのか。葉太が経験してきた内省や変化がまさにということなのだとしたら、そこも『人間失格』が葉蔵の手記という体裁の作品であったこととの対比として捉えられるので面白いところですね。


