
キズ
@kotodama
2026年1月14日
正欲
朝井リョウ
読み終わった
《どうせ説明したところでわかってもらえないことなので》
巨大なあきらめが、すぐそこそばにある。
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人は結局、自分のことしか知り得ない。
社会とは、究極的に狭い視野しか持ち合わせていない個人の集まり。それなのに1部の人の手によって、綺麗に整えられていく。
まとも。普通。一般的。常識的。
自分はそちら側にいると思ってる人は
どうして対岸にいる人と判断した人の生きる道を
狭めようとするのだろうか。
定義することは簡単。でも、思うと言うことを制限することは誰にもできないのに。
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混乱も消失もまるでない。
夫について向き合うことに対して不快感もない。
混乱も拒否感も恐怖や戸惑いのようなものもない。
──自分の方が広い範囲を見渡せている。
そんな人特有の余裕に満ちている。
紙飛行機のように空気を割いていく。
何を考えているのかがわからない。
この表情、言葉にしたところで仕方ない
と言うような巨大なあきらめ。
──どうせ説明したところでわかってもらえないことなので、結局起訴されるなら誰も話そうとはしなくて当然だと思います。
──どうせ話したところであなたにはわからないよ。
「ありえないですかいいですよね。
誰にも説明する必要がない人生って。
どうにかして生き延びるために選んだ道を
現実的にありえないって断罪されないって。
私たちも現実生きているんですけどね。
あなたの言う現実で、誰に説明したって
わかってもらえないもの同士、
どうにかつながり合って生きているんです。
そんな生活を誰に説明したってわかるように
作られた法律に絡め捕われるんです。」
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取り払った側は取り払ったその瞬間、目的が達成される。取り払った後は次に取り払うべきものを探したり、その日の夕食を何にしようかと考えたりする。
【 取り払われた側はその後の世界を歩き続けなければならない。永遠に。1人ではなく、独りで。】
