カミーノアン "「美味しい」とは何か" 2026年2月14日

「美味しい」とは何か
本書は「美学」という学問を「食べること」から考察する。人が評価を下す仕組みや、そこで働く「センス」とは何かを問い直していく。 印象的なのは、味は舌だけで感じるものではないという点だ。私たちが普段感じている味は五感すべての働きの結果であり、視覚や嗅覚が伴わなければ“いつもの味”にはならない。 また、「甘い」は記述であり、「おいしい」は評価だという整理も腑に落ちる。基準がどこから来るのかを主観と客観の両面から考える。たとえばある地方の名物をおいしいと感じるかは主観的でも、その地域の中での優劣は一定の基準で論じられる。そこに文化相対的な客観性があるという視点は興味深い。 さらに、味の評価は知識や情報の影響を受けるという指摘も重要だ。純粋な「無垢な舌」は存在しない。言葉や背景理解が、私たちの判断を無意識下で下支えしている。 「優しい味」という表現が示すように、味の言語は感情や記憶とも結びつく。読み終えて、「味覚は人それぞれ」と簡単には言えないことを改めて考えさせられた。
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