糸太
@itota-tboyt5
2026年2月15日
タタール人の砂漠
ブッツァーティ,
ディーノ・ブッツァーティ,
脇功
読み終わった
思い当たる節がありすぎる。でもその共感はけっして、こんなコトあるよなあ、といった体験に基づくものではない。
主人公ドローゴの置かれているのは、現実ではちょっと考えにくいシチュエーションである。なのに、あまりに自然に共感してしまうのは、ドローゴがこの環境下で選んでしまう、後ろ向きな決断の一つひとつが、自分もたしかにそんな風にしちゃうかも、と素直に思えてしまうからだ。
理屈では説明できない不可思議な心の動き。誰とも分かち合ったことがないのに、見事に言い当ててくる。これが、とくに大きな展開もないストーリーを通じてなのだから、ただただ驚く。
でも、時の遁走が止まった後の心象は、まだ私の感覚には遠いものだった。いつか分かるのかな。きっと分かるんだろうな。そんな予感を抱いてしまうほどに、私にとっては説得力を持つ小説だった。
