ヤングオイスター飼育員 "最後の皇帝と謎解きを" 2026年2月25日

最後の皇帝と謎解きを
このミス大賞。 自分も好きな時代が舞台なので購入。 ネタバレあり。 舞台設定は、浅田次郎の『蒼穹の昴』を読んだことがある人には、さほど困難ではないと思う。というか直接被ってる歴史上の人物は登場しないものの、光緒帝やカスティリオーネのエピソードなどは『蒼穹の昴』オマージュなのかなあ、と思うぐらい人物造形が近かった。 ミステリとしてはそこまで……という評判だが、この舞台設定でなければ絶対に成立しないトリックを使っているので、そこは唯一無二のミステリとしてわたしは満足! また、語り手が実は「騙り手」であり本心が取れない文章というのも、泡坂妻夫の某作品を思い出した。ミステリが好きな人の作ったミステリだな、というところが好感度高かった。 自分としては、不満が残ったのはむしろ評価されている物語の方で、主人公と溥儀が立場を超えて友情を深める、という設定ありきで人物が描写されてる印象が終始つきまとった。 最後に2人の関係が破壊されるであろうことは歴史を知っていれば誰でもわかることであり、その変えられない史実を知っていても「ヤダーッ!ずっと2人であーだこーだ言いながらお絵描きしててくれよ〜!!」と切望したくなるような、キャラクターへの思い入れを最後までイマイチ持てなかったのが残念だった。 とはいえ、やがて溥儀が傀儡政権の皇帝となる流れの中に、ある日本人への友情があった(かもしれない)という悲劇性や虚構性は自分の好みで、とても好きだった。 見方によっては青春小説だし、物語から読み取れる、世相に対する作者の問いかけにも共感するので、歴史・ミステリに興味ある学生さんにオススメしたいです。
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