
コノハズク
@yy708
2026年2月15日

黄色い雨 (河出文庫)
フリオ・リャマサーレス,
木村榮一
読み終わった
物語を語っているのは何者なのか?
生きた者なのかそれとも死んだ者の記憶が語っているのだろうか?
物語はピレネーの山にある小さな廃村の話だ。
しかし、はじめのうちは何が書かれているのかを手探りのように読み進めていくことになる。
必然的にじっくりと辛抱強く読むことになるのだが、やがてその内に少しずつその背景が、全貌が明らかになってくる。
村からは人々が消え去り、自らの子どもや妻さえも。そこで、老人はただひとり、唯一の友である雌犬とともに記憶と時間の中をさまよいながら過ごすのだ。
圧倒的な哀しみのテンションで書き綴られ、ラテン文学の特徴なのか、時間が行ったり来たりして迷宮をさまよっているような感覚にもなる。
冬には雪が果てしなく降り積もり、秋にはポプラの雨が降り注ぐ。常に死の予感とともに。
強さと弱さ、深い愛情が自ずと感じ取れる、哀しくも美しい物語だった。




