黄色い雨 (河出文庫)

11件の記録
- 舳野@henomohe2026年6月30日読み終わった滅びた村でひとり死んだ男による回想。 住人が全員出て行ったあと、妻が自殺。男は雌犬と細々と暮らしていく。妻の幽霊や母親、他の家族の亡霊が出てくるし、誰も姿を見ていない生まれつき寝たきりの子供の幻が幽霊というより怪物みたいに飛び出してくる。 家はどんどん崩れていき、象徴のようにポプラの黄色い葉、黄色い雨が降り積もる。 ずっと死を見つめ続ける彼は残った雌犬をたったひとつ残った銃弾で射殺してやり過酷な生活と孤独に蝕まれ衰弱死する。 滅びの文章が圧倒的に美しくて滅入りながらも読み切った。 超短編は孤独で忘れられたような男が勝手に鉄道を止めたり、発表しない、できない小説を書くというサキの短編みたいな小説。世間的には落伍者とみなされる男の一生ということは共通してるけど雰囲気はかなり違う。


コノハズク@yy7082026年2月15日読み終わった物語を語っているのは何者なのか? 生きた者なのかそれとも死んだ者の記憶が語っているのだろうか? 物語はピレネーの山にある小さな廃村の話だ。 しかし、はじめのうちは何が書かれているのかを手探りのように読み進めていくことになる。 必然的にじっくりと辛抱強く読むことになるのだが、やがてその内に少しずつその背景が、全貌が明らかになってくる。 村からは人々が消え去り、自らの子どもや妻さえも。そこで、老人はただひとり、唯一の友である雌犬とともに記憶と時間の中をさまよいながら過ごすのだ。 圧倒的な哀しみのテンションで書き綴られ、ラテン文学の特徴なのか、時間が行ったり来たりして迷宮をさまよっているような感覚にもなる。 冬には雪が果てしなく降り積もり、秋にはポプラの雨が降り注ぐ。常に死の予感とともに。 強さと弱さ、深い愛情が自ずと感じ取れる、哀しくも美しい物語だった。










