
あとは寝るだけ
@atohanerudake
2026年4月19日
透析を止めた日
堀川惠子
気になる
買った
読み終わった
伯父が長年透析を受けている。知っておかねばならないことが書いてある気がする。
---
20260419読了
前半は著者自身とその夫の体験を克明に記した手記、後半は取材を元にしたルポルタージュ。
著者の華々しい受賞歴からもわかるが、文章がものすごく上手いのだと思う。どこをとっても読みやすく、分かりやすく、正確で、誤解がないよう徹底されている。プロの作家に文章が上手いなどと言うのは却って失礼かもしれないけれど、この本がベストセラーになっているのはその内容もさることながら、何より「上手い」ことが大きな要因ではないかと思った。
前半の手記は、夫婦の愛の物語というか、思った以上にウェットな印象で、著者の為人が伝わってくる。最後の場面は涙なくして読めなかった。
透析について、腎臓病について、全く知らずに生きてこられたために初めて知ることばかり書いてあり、シンプルに勉強になる。また私の場合は遠方に住む伯父が週に3日、血液透析に通っている訳だが、たまに顔を合わせてもそんな話はしないから、伯父の日々の生活についてとか、どんな困難があるのかとか、将来のこととか、何ひとつ考えたり想像したりして来なかったことを恥じた。あまりに無関心で他人事だった。私を未だに小さい頃の呼び名で呼んでくれる数少ない人、もうあと人生で何回話ができるだろう。
後半のルポルタージュでは、終末期の透析患者に関わる医療について大きな問題提起をしている。腹膜透析という優れた治療法がもっと活用されれば、という内容だが、描かれるのがあまりに素晴らしいケースばかりなので、ちょっと腹膜透析を礼賛しすぎているようにも感じてしまった。導入に忌避感を持つ側の意見ももっと知っておきたいところだが、それは本書でなく別のどこかへ自力でたどり着かねばならないのだろうな。
本書を、伯父の弟である父に勧めるかどうかまだ迷っている。重くならずに貸せるタイミングが来るだろうか。