
おこめ
@ocome_squash
2025年3月13日

ペンギンの憂鬱
アンドレイ・クルコフ
秋から春にかけての季節の移り変わりもとてもいい。
明らかに不穏なことに加担しているのに、重大なことを考えないようにするように、家庭の茶番に没頭する主人公。
登場人物が、増えてはあっさりログアウトしていく感じも主人公のあっさりとした感覚を思わせてくる。
隣にいるニーナからの干渉を疎ましく思う様子が、彼の引き返せない浸かってしまった世界の心地よさを感じる。
ラストにかけて、守られていたのではなく大きな歯車の中にあることを知った主人公が、自分の決断でやっていたことの中で自分の人生を救うことになるのが面白い。もっとここを読んでいたかった。
『いい気分でいることと、〈十字架〉の詩的で暗い雰囲気にひたること、このふたつを両立させるのは簡単だった』



