しんどうこころ "存在の耐えられない軽さ" 2026年2月18日

存在の耐えられない軽さ
存在の耐えられない軽さ
ミラン・クンデラ,
千野栄一
とても良かった。色々な人が好きな本で本作をあげる気持ちがわかる。 四人の男女の人生をなぞりながら、「重さ」と「軽さ」について何度も立ち止まって考えさせる小説。 ものごとの本質を言語化するのが非常に上手く、よく効く広告キャッチコピーを浴びるかのように、共感しっぱなしで夢中で読めた。 相対的に軽い人、重い人はあると思いつつ、「すべてが軽い」「すべてが重い」という人は存在せず、誰もが人生の中でバランスを取っているのだろうと思った。 気づけば常に自分と対比させながら読んでいたように思う。「わたし」を見つめ直してみるとわたしの人生は相対的に重いのだと思う。本作で軽さは自由だと語られるが、同時にリスクを伴う。わたしは自由に憧れつつも、このリスクを負うのが怖く、軽くなれない。 そして人生は軽いも重いも、一つひとつが選択の連続であり、円環ではない。 軽く試す、やり直すことは実は許されておらず、前に進むことしかできない直線なのである。歳を重ねるごとに実感が増すが、これは極めて恐ろしい。 総じて本作はわたしの心に強く響き、自分と相手について立ち止まって考えるきっかけを与えてくれた。 歳を重ねるごとに、良いタイミングで読み直したい。 そのたびに感じることは違うだろう。 蛇足 トルストイのアンナ・カレーニナが究極のネタバレをするので積読している方はご注意を。
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