
くも
@kumo_130
2026年2月18日
BUTTER
柚木麻子
読み終わった
なんだか胃もたれするようで、読むのに時間がかかってしまった。
展開も気になるし、調理シーンは美味しそうだし、面白いと思うのになかなか読み進められない。
なんだろうなあ、と思っていたけれど、胃腸よわよわ人間にとってのバターのように、カジマナがとにかく重たいんだなと途中で納得した。
中身のぎっちり詰まった大層な人間に感じる時もあれば、ぺらっぺらですっかすかな時もある。儚げに感じる時もあったけど、総じて存在感が常にこちらを圧迫してくるというか。
里佳の目線で見ているにすぎないから、カジマナがどんな人間だったかは結局分からずじまいのような気がする。
里佳はカジマナとその父親のつながりを直視する前に自分と父親について答えを出してしまった。故にわざわざ梶井父娘について踏み込む理由を無くしたんだと思うけれど、そこに触れないとやっぱりカジマナについては意味不明の言動をするようにしか受け取れないんだと思う。
すごいカジマナという人間について考えてしまうけど、解説でカジマナが「脇役」と書かれていたことにハッとして。彼女に散々振り回されて、読み終わってなお胃もたれレベルに後味が残っているのにこの小説において脇役でしかない。
里佳の変化の大きさといったら。序盤の怜子の家へ向かう時の空気感と、結末の空気感が全然違う。カジマナに取り込まれかけて、怜子にひっぱり戻されて、また傾いて…。揺れ動く度に何かを壊して世界を広げて、光を取り込んでいくような。
ストーリーに直接的に関係はないと思うけど、季節の変化がすごく良かった。
凍えるような新潟からずっと冬のなかにいた気がしたけれど、ふと窓から入ってきた空気の柔らかさに、春が訪れていることに気づく。里佳と一緒にその風を直に感じられるような感覚だった。すごい!


