
みっつー
@32CH_books
2026年2月22日

乳と卵
川上未映子
読み終わった
学校で自分の体について教えてもらったのは、なんの授業だったか。
理科なのか、保健だったのか、そのどちらでもだったのか。
体が痛くなると焦ったように柑橘類を食べてみたり、陽にあたってみたり、いつもよりも長めにお風呂に浸かったり、肩をぐるぐる回してみたり、目を瞑ってみたり、うがい薬を使ってうがいをしたりしてみる。
痛くなるたびに、体と向き合おう、次は気をつけようと思っているのに、何ヶ月後には忘れていて、また同じ箇所を痛めていたりする。
この時、心と体は乖離している。
『乳と卵』は大阪から上京してきたホステスの母親と、言葉を発することを拒絶する娘を中心に物語が進んでいく。
母親は豊胸手術を受けることに取り憑かれており、しかしなぜ手術を受けたいのかという理由までは明かされない。明かされないけれど、夜の商売をしていることであったり、娘を産んだあとに小さくなってしまった胸について思うところがあったり、体ががりがりに痩せていってしまっていたり、思い当たる節はあるけれど、そのどれでもない可能性すらある。
話すことを拒絶する娘は会話をする際はノートにペンを走らせて筆談する。会話する時は小さいノート、日記を書く時は普通のノートだ。
日記にはこれから自分に起こる、生理について、卵子について、子どもについて、頭の中を整理するように書かれている。
わからないことが、わからない。わからないことへの不安。
そして母娘ともに、相手に対して不安を抱えている。
なぜ言葉を発しないのか、なぜ胸を大きくしたいのか。
二人の不安が解消されないのは、二人ともその不安の答えを持っていないからだ。
想いが溢れてしまうそのギリギリまで、母娘は不安になり、不満を抱える。
『乳と卵』は110ページくらいしかないのに、あまりにも濃い時間が流れていた。



