しろくま
@shirokuma1909
2026年2月23日
読み終わった
借りてきた
2025年に出版された沖縄戦史。巻末の参考文献に示されるように膨大な資料と、『沖縄県史 各論編6 沖縄戦』(2017年)、『沖縄戦を知る事典』(2019年)、『続・沖縄戦を知る事典』(2024年)などの最新の研究を踏まえて執筆されている。歴史的な事実の叙述が詳しいのみならず、「普通の人々の視点から沖縄戦の実相に迫るために多くの体験者の証言を引用紹介した」(19-20頁)ものとなっている。いくつか特徴を挙げてみよう。
①丁寧な叙述
「表1-1 第32軍編成表」(41頁)の細かい数字の推計や、「図3-3 宜野湾 字ごとの戦没者率」(107頁)の引用・紹介など、かなり細かい数字まで丁寧に拾って記述している、という印象を受ける。沖縄戦における戦没者数という重要かつ基礎的な事実も明確ではない点に言及していて、勉強になった(292頁から)。本文中に挿入されている図表も、読むうえでかなり役に立つ。
②沖縄の人々の視点
史実の記述が丁寧なのも然ることながら、とりわけ第四章において多くの人びとの証言を引用している点にも特徴がある。また、「沖縄で起きた戦争」の話だけではなく、「沖縄の人々が経験した戦争」を描くという視点から、第四章の「10 沖縄の外での戦争に参加した沖縄の人々」「11 移民した人たちの戦争」についても記述している点が特徴的だった。
③沖縄戦の原因を考える視点
第五章に「2 どうすれば犠牲をなくせたのか、減らせたのか」という項目があるように、どうすれば犠牲をなくせたのか、減らせたのか、という問題意識がかなり明確。随所にその問題意識に基づいた提言がなされていて、現在から沖縄戦を再検証するうえで考えさせられることが多かった。
本書は以上のような特徴を有している。新書判でありながらも、1ページあたりの文字数は多く(42文字×16行)、合計で348頁ある。じっくり読むのに相応しい一冊だと思う。
