本と香りと、 "わたしたちの停留所と、書き写..." 2026年4月18日

わたしたちの停留所と、書き写す夜
わたしたちの停留所と、書き写す夜
キム・イソル,
小山内園子
家族という血縁の縛りと、貧しい住まいの環境、 どちらの『家』も、鬱蒼とした閉塞感をもって描かれていて、 読み進めるためには、とても気力が必要だった。 そこに、語り手である『わたし』の 深く、根強い自己卑下の発露も重なってくるので、 さらに暗澹たる気持ちになっていった。 韓国の読者たちが、著者キム・イソルさんを 『居心地が悪い小説を書く作家』と呼ぶのも納得がいく。 ただ、読んで後悔しているのか?と言えば、 まったくの正反対で、読み逃さなくて良かった、と言える小説だ。 なぜなら、『わたし』の姿を通して、 「私も、馴染んだ不幸を選んでしまっていないか?」という、 自問自答を促してくれるだけではなく、 そこから抜け出そうとしている者の小さくて弱い背中を 見せてくれたからだ。
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