由々 "朱泥抄" 2026年2月23日

由々
由々
@kk_2329
2026年2月23日
朱泥抄
朱泥抄
篠田桃紅
37%-50%(p.71-94/188) --- "氷の季節、みどりの粉をまぶしたような芽出しの春も、いつも織り色を思わせる落葉松のその中に、点々と混じる楓は、どちらかと言えば染め色かと、陽を受けて光る葉を眺める。 茅葺きの屋根は雨の音を吸ってしまうので、まずそのけはいを聴きつけるのは板屋楓である。 軒のそばに立っていると、ふと肩に手をやるような湿りを感ずる、ともう、楓にポツンとすずしい音がする。そして木は、いつの間にかしっとりと濡れている。"(p.75) "木と風が戯れているふうに見える"(p.78) "あのなつかしい帖を取り出して置こう。そして、枯れ、横たわった木々の上に、やがて鎮魂の雪が降る日、私も小屋で「枯樹賦(こじゅのふ)」を、もう一度丹念に書写しようと思う。"(p.81) "建物の空間、といっても東洋人のわれわれにはやはり「間」であり、天と地のあいだに、過ぎてゆく時の間に人間がかりる「間」なのである。一切はそのかりかたによるものらしい。生きることもつくることも。 生きていればそのまわりにはふんい気という空間が出来る。何かつくるならそのかたちにこころのある「間」をもたせたい。"(p.87) "あの間の截り方、借景という言葉は好きではないが、そういうものの中で慈光院の庭と、この庭は私の心の中で一瞬響きを交わすようであった。"(p.91) --- その感性とその言語化。素敵すぎる。
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