たにこ "殺人出産" 2026年2月24日

たにこ
たにこ
@chico75_11427
2026年2月24日
殺人出産
殺人出産
村田沙耶香
近未来の倫理観が少し今と違うSF短編集。作品それぞれに違ったグロテスクさを感じながらも、違和感を感じさせない表現をされている。もちろん登場人物たちの間で価値観が異なるために揉めたりすることもあるようだが。 殺人出産:人口減少対策として、10人出産したら合法的に1人殺すことができる「殺人出産システム」が導入された近未来の日本の話。10年以上の年月をかけ、命懸けで10人出産する。人口子宮のおかげで何歳からでも男性でも始められるが、達成できる人は少ない。殺される側に選ばれた人は死に人として盛大に祝われる。理由がなんであれ。死に人は1ヶ月猶予があるらしいが、逃げる人もいれば受け入れる人もいる。受け入れる価値観が分からない人の足掻きがリアル。 トリプル:恋愛は3人組でするのが当たり前という考えがここ数年で爆発的に増えた世界。同級生でも適応していない子もいる。「流行り」の一言で恋人関係の概念が変わるのが不思議。 清潔な結婚:マッチングアプリで「兄弟のように、性を家庭に持ち込まないパートナーを作りたい」男女2人が子供を作るために「清潔な性行為」を行うクリニックへ行く話。旦那の性癖歪みすぎて草。そりゃ持ち込めないね… 余命:蘇生技術が進歩し、事故や病気でも生き返るため死の概念が軽くなった世界。死ぬタイミングを自分で選べるようになり、死に方のトレンドもある。不思議な世界だけど、ある意味羨ましい。主人公の「今はわざわざ、人目を気にしてセンスのいい死に方を探しながら自分を葬らなくてはいけないのだから」と述べている。この文章を書ける著者のセンスに脱帽。
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