
仲西森奈
@mit_valentin
2026年2月24日
「手に負えない」を編みなおす
友田とん
読み終わった
帯に「予測不能な脱線の果てにある、謎の感動をあなたに。」とあって、実際ほんとうに予測不能かつ謎の感動を味わった。伏線ではないものが伏線になっていく。伏線とはそもそもそういうものだったりするけれど、それが友田さんの人生のなか、視線のなか、探求のなかでかなり具体的に提示されることによる感動。ラストは丸谷才一『樹影譚』の終盤のようでもあった。誰かがすでに言っているかもしれないけれど、友田さんが繰り返す「可笑しさ」というフレーズに「おかし(御菓子)」という音が入っているのも読んでて勝手に気になってくる/繋げたくなってくる。
こうして過去や因果が編みなおされる体験をしてしまった後では、あの家で生まれ育ったことから生じた因果もあくまで仮のもので、考える足場にすぎず、いつまでも執着する必要はないのだという気がしてきたのである。(229-230p)
地下鉄の漏水対策を観察していくなか立ち寄った駅ナカのカフェで飲むビールのくだりとか、和菓子屋だった実家の間取りやその空間でかつて繰り広げられていた営みの描写だったりとか、そういうひとつひとつが面白く、きれいで、何度か読みながら「ああ……」と釣られていろいろなことを思い出した。明るい気持ちになる本だった。




