
プールに降る雨
@amewayamanai
2026年3月16日
幸福の遺伝子
リチャード・パワーズ,
木原善彦
読んでる
読み終わった
豊富な知識と語彙を駆使して密度高く精緻に描出する筆力はさすがのパワーズという前提はもちろんありつつも、テーマである遺伝子操作によって人類は幸福になるのかというテーマについて何か新しい知見が得られるほど踏み込んでいるわけでもなく、また、「幸福の遺伝子」を持つタッサ以外のキャラクターはいかにも類型的で魅力に乏しく、さらに、ストーリーも映画の原作として書かれたのかと思うようなハリウッド的定型構造でウェルメイドではあるが惹きつけるものもなく、テーマが明らかになってからは興味が持続ぜず冗長に感じた。
タッサが世間から注目されるきっかけとして起きた(起こされた)不幸な事件や、ラストの追い詰められたタッサが取った行動などは、取ってつけたような安直さでどうなのかなという感じがした。
メタ構造はよほどの必然性がないと物語を効果的に盛り上げるどころか醒めさせる要因となるが、時折り顔をのぞかせる「謎の語り手」が必要なのかよくわからなかった。