
読書猫
@bookcat
2026年2月25日
桜の園/三人姉妹改版
アントーン・パーヴロヴィチ・チェーホフ,
神西清
読み終わった
(本文抜粋、「三人姉妹」より)
“アンドレイ 結婚なんて、いらんことですよ。なぜいらないかと言うと、退屈だからです。
チェブトイキン そりゃまあそんなもんだが、孤独というやつもねえ。どう理屈をつけてみたところが、孤独はおそろしい代物さね、なあ君。……もっとも煎じつめてみりゃ……もちろん、絶対に同じことじゃあるがね!”
“マーシャ 幸福というものを、合間合間に、ちょっぴりずつ手に入れては、それをわたしみたいに、そのつど失くしてごらんなさい。だんだん気持ちがすさんできて、ねじけた女になるのは当り前だわ。”
“オーリガ 楽隊の音は、あんなに楽しそうに、力づよく鳴っている。あれを聞いていると、生きて行きたいと思うわ! まあ、どうだろう! やがて時がたつと、わたしたちも永久にこの世にわかれて、忘れられてしまう。わたしたちの顔も、声も、なんにん姉妹だったかということも、みんな忘れられてしまう。でも、わたしたちの苦しみは、あとに生きる人たちの悦びに変って、幸福と平和が、この地上におとずれるだろう。そして、現在こうして生きている人たちを、なつかしく思いだして、祝福してくれることだろう。ああ、可愛い妹たち、わたしたちの生活は、まだおしまいじゃないわ。生きて行きましょうよ! 楽隊の音は、あんなに楽しそうに、あんなに嬉しそうに鳴っている。あれを聞いていると、もう少ししたら、なんのためにわたしたちが生きているのか、なんのために苦しんでいるのか、わかるような気がするわ。……それがわかったら、それがわかったらね!”