たにこ "スノードームの捨てかた" 2026年2月26日

たにこ
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@chico75_11427
2026年2月26日
スノードームの捨てかた
主人公は皆アラサーな気がする。私も当事者。今人生の迷子中なので、作中の皆それぞれ今後の人生に何か引っ掛かってたり、逆に過去に囚われていたりしていたのがリアルだった。物語も良い意味で抑揚がなく、ハラハラする場面はないけれど妙に背筋が凍る描写もあって面白かった。ひらがなを結構活用されていて、文体が柔らかく感じるのに、刺さる言葉は鋭いのが不思議な気分になった。ひらがなは、いい場面の時には心に寄り添ってくれて、不穏な場面では狂気に見えるのが不思議。私自身の想像力の問題だろうけど、意図して書いてるんだろうなと思わせる力があった。 コメント欄に長いネタバレと感想書きます。
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@chico75_11427
スノードームの捨て方: 昔からの友人3人である事情でいつもの宅飲みへ。結婚してる友人と結婚したい友人、特別結婚したいわけではない自分。それでも変わらず仲良くしてる姿、変わらない姿がスノードームのように眩しい。 「結婚してもしなくても同じくらい自分はしあわせだって信じてたから、結婚するってなったとき、なんかこう『正解へようこそ』みたいな祝われ方、きもちわるくてさ」(P28) 「いまの暮らしで天秤が釣り合っちゃってるっていうかさ。結婚したわたしと、独身のわたしがおんなじだけたのしくてしあわせだから、わざわざ結婚をしようってあんまり思えないっていうか。(中略)わたしのは独身と結婚の分銅がすっかり釣り合っちゃってんの、ぴたーっと水平にね。だからこれでべつにいいんだけどなあって」(P29) 鰐のポーズ: 過去の友達とどんどん話が合わなくなるってあるよね、ヨガスタジオで新しい友達ができそうでよかったね、と思ってたら、余計な一言でギクシャクするやつ〜… きっと主人公は自分の行いに罪悪感があるけど「同じ状況」にいる「ようこさん」に共感してほしかったんだろうな。でもそれが壁を作る原因になってしまった。誰かの1番になりたくて、でもなれなくて悩んでる姿はめちゃくちゃ人間らしい。マズローの5段階欲求の社会的欲求に飢えているんだろうな。 川は覚えている: 指輪を捨てて過去を思い出したくない女性と、「思い出さなくてもいいけど、いつでも思い出せるようにしてきたい」男性。どちらの気持ちもわかる。結局違う鮮明な思い出として刻まれる逢瀬になったんだろうなと思ういい話だった。
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@chico75_11427
背: 「見る仕事」「見られる仕事」色々あるけど、自分の見られたくない部分を見られて、尚且つ指摘されるのはすごく嫌。それがトラウマな出来事であれば尚更。 ラスト、あれだけ監視カメラから見ていたのに気づかない黒木が逆に不気味だった。監視カメラでずっと追うくらい気になってたのにね。主人公も監視カメラで見られてることには疑問に思わないのね…と思いつつ、トラウマに引っ掛からなければ器の広い素敵な人だったんだろうけど、すれ違いって切ない。 湯気: 優しすぎる彼、遠藤雅史くん。プロポーズ成功した後、彼女から「何か直してほしいところがあったら教えて」と言われるが、「しんにょうが変」以外にピンとこない。 「結婚する前にやりたいことないかなって色々考えたんだけど、悪いことしてみたくなっちゃって。だってつまらないんだもん、わたし、このままじゃ一生つまらない。まさくんはやさしいけど、やさしいってつまらない。まさくんといたらわたし、どんどんやさしくてつまらなくなっちゃう」(P148) 「しんにょうが変」は彼が感じている違和感なんだろうな、その違和感に飲まれたくなくて見ないようにしてるんじゃないかな、と思ってしまった。ラストのセリフでぞくっとした。
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@chico75_11427
いくつもの窓: この作品はめちゃくちゃ刺さった。主人公は仕事に疲れて、最善の自分じゃなくなる前に仕事を辞めてバイトへ。私は適応障害+鬱で長い間休職中。 描写がひしひしと不安に呑まれているのを伝えてくる。私にも刺さる。何者でもない自分が怖い。 ・きっぱりと白い部屋の中のような不安である。壁と天井のつなぎ目も見えず、この部屋が膨張しているのか、収縮しているのか分からない。(P154) ・あの場所で働く以外の自分がうまく想像できなかった。再就職のことを少しでも調べようとすると、わたしはまた真っ白な部屋の中に置き去りになって、ちっとも指を動かすことが出来なくなった。(P164) ・日に日に自分の一日に出来ることが減っているような感覚がある。このままではだめになる。自分にとってなにが「だめ」なのかわからないけれど、とにかくここは仮の居場所であると思っていないといけないような気がする。(P165) そんな主人公も、祖父の千切り絵のために買った高価な額縁を空のまま玄関に飾る。 額にふさわしい絵を買えばいいのかもしれないけれど、これはこれで鏡のようにしっくりと来てしまいしばらくはこのままにしたかった。いつも、家を出るたびに廊下にからっぽの額がある。額の中で白いマットに囲まれた空虚がうっすらとわたしの顔を映すのだが、それが妙に心地いい。(P184) きっと真っ白な部屋の中に輝いた星のようになっているんだろうなと思う。
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