
あんどん書房
@andn
2026年2月26日
読み終わった
期待値に阻まれるからか、好きなタイプの文章ほどなかなか読み始められないということがままあって、古賀さんの著書はまさにそんな感じだ。
「日記を書くために何かし続けた」一夏の日記集。その何かするというのも、野菜ファーストをやめてみるとか道の花を摘んでみるとか、めちゃくちゃささやかだし、やはりどことなくDPZっぽさもある。
この言語化はすごいな…と思ったところをいくつか。
“私は水を飲むという行為に、つまり拗ねていたのだ。拗ねていては人生はつまらない”(P32)
美容の世界で水がもてはやされていることへのアゲインストの気分を自覚してのコメント。自分はありとあらゆることに拗ねまくってるので(そんならもういいもん、やんない!となりがち)この冷静さはマジで見習いたい。
“外へ出ればベースは秋なものの上部に夏が戻ってかぶさったような空気だった。上澄みの夏に惑わされないように気を確かに秋の風を積極的に感じとって仕事場へ。”(P197)
前半はまだしも、この後半は古賀さんにしか書けないよなぁこんな。
“夏の朝、そうめんをピザにする。/生きるとはこういうだしぬけなところに宿るよなと思う。”(P222)
そこで「だしぬけ」という単語が出てくる語彙力というか世界との向き合い方というか。そうめんピザも初めて知った。
この本の副題は「気がつくための日記集」で、それは古賀さんが暇を「ふせいだ」先に見出される何かしらのことなのかと思うが、読んでいる側も「あ、世界ってそんなプレイ方法あるんだ…」みたいな気付きができるのが良いなぁと思う。
あと見返していて冒頭にすごく良いことが書いてあった。
“自分の生活や心境を記録したい意思は実はあまり無く、作文に興奮したいのがほとんど目的だ”(P1)
そのモチベーションだから謎の迫力が出せるほど続けられるんだろうなあ。
本文書体:アンチックAN+リュウミン,見出し:石井ゴシック
ブックデザイン:中村妙
イラスト:いそのけい
アンチックと明朝の組み合わせ、あまり見ないけど空間がゆったりしていてよい。