
沙南
@tera_37
2026年2月27日
いなくなくならなくならないで
向坂くじら
読み終わった
「ファントムバイブレーションシンドローム」
二人の女性が中心の物語。
友情ではないし、執着とも少し違う。曖昧で切実な関係。ただ、理想のあなたを押し付け合っている。
価値観の似た人と共に過ごしたいと私は常々思っていたけれど、読み終わって自分自身の人間関係を振り返ってみると、どちらかというと倫理観とか、道徳心のようなものが一致している人の方が多い気がする。この物語の二人がそうであるように。
何をどこまで許せるのか。してはいけないことと、してもいいこと。その線引きが同じ人、もしくは同じように変遷していった人としか、長いあいだ隣を歩くことは難しいのかも。
許容範囲が一致するだけでも十分なことであるのに、二人は互いの欠けている部分を補い合おうとしてしまう。結局、死ぬまで自分のことしかわからないのが人間なのだから、自己理解の一端を他者に委ねたところでうまくはいかない。身体のどこかにあいた見えない穴は、他人では決して埋めることなんてできない。
じゃあ穴があいてしまった人はどうすればいいのだろう。答えが見つかるかと思ったが、最後まで読んでも見つけられないままだった。
でもそれでいいとも思った。穴があいたまま生きていたら、その穴になんかいいものが落ちてくるかもしれないし。ラッキー人生万歳。


