おぐゆう "コンビニ人間" 2026年2月27日

コンビニ人間
コンビニ人間
村田沙耶香
そのズレに宿るもの。 36歳、未婚、恋愛経験なし、コンビニのバイト歴18年。 主人公の古倉恵子は、誰から見ても浮いた存在だ。幼少期のエピソードの凄まじさも去ることながら、自身を慕う妹が泣いていても(しかも自分が理由であっても)その状態に飽きてしまう。 分かってはいるのだ。世間とズレていることを。 だから秩序正しくマニュアル化されたコンビニという世界で、そのルールに則り生息し続けている。 接客用語で仕事をし、 ルーティンワークをせっせとこなす。 同僚の言葉遣いやファッションを片っ端からマネすることで、 世の中の歯車として息をする場所を獲得してきた。 おかしい? そうでしょう。 おかしい? え、本当に? そう思うならもう1回、頭から読み直したい。 大学へ行き、適齢期と呼ばれる年齢で結婚して、 子供を産み、育て、 それなりに不満を口にすることはあっても、そこから大きく外れることはない、古倉恵子の友人たち。 トレンドの服、流行りのコスメ、グルメ、スポット。 大衆に支持される「王道」に則り、生きる人生。 「コンビニ人間=古倉恵子」と 一体何が違うというのだろうか。 乗っかったレールがただ違うだけ。 生まれたら最後、人は死ぬまで生き続けなければならない。 ルールやルートに自分を当てはめ、生きていく。 中身の自分と、レールに乗っかった自分、その隙間をコントロールしながら、生存することを継続し続ける。 本当は分かっている。 その「ズレ」に、人が宿るということを。 選んだものが、マジョリティと違うだけ。 見つけたレールが、その他大勢と違っただけ。 だって「古倉恵子」はめちゃくちゃ輝いていたもの。 コンビニの「人間」として。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved