
和月
@wanotsuki
2026年2月28日
なぜ日本文学は英米で人気があるのか
鴻巣友季子
読み終わった
最近は、海外で文学賞を受賞したことで名前を知る作品が沢山ある。『BUTTER』や『ババヤガの夜』がその筆頭。そうした風潮はどうして起こったのかを知りたくて、本書はそれ故に手に取った新書だった。
正直「なぜ日本文学は英米で人気があるのか」についてよりも、翻訳という営為と世界情勢の関わりや、出版界における翻訳文学の立ち位置等の推察がとても鋭く、読んでいて面白かった。
日本語を母語として日本語に翻訳された作品に触れる機会が多い立場としては、他文化の違和感を含めた文章こそ外国文学の魅力だと感じていた。そのため「翻訳者隠し」や「馴化翻訳」といった手法があること自体驚きだった。
(引用)
「翻訳およびその読者というのは、原作とその読者に対してつねに「遅れて」いる。しかし「遅れてきた者」だからこそ持ちうる新たな視点もあるはずだ。」
著者のこの主張が新鮮だった。たしかに、私達が太宰治や夏目漱石の作品を読む時、現代の社会問題等とリンクさせて当時とは異なる視点で読むことがある。これは、時代の変遷に伴って起こる事象だと考えていたけれど、著者の言う通り国と国の間にも起こり得る現象なのかもしれない。
私はよく、この面白い海外作品を原書で読めたらもっと内容の解像度が上がったのかもしれないと悔しい気持ちになることがある。でも、その物語を日本語という別の言語を通して知ることで、新しい視点を得られるのかもしれない。
そう考えると、翻訳作品が遠い世界から様々な人の手を渡って届いた贈り物のようで、何だか嬉しくなる。
また、この本を通して新たに読みたい作品が増えたことも喜ばしい。作中に登場する「侍女の物語」や「マーリ・アルメイダの7つの月」は前から気になっていたけどより一層読みたくなった。海外で人気の日本人作家もまだまだ知らない方が沢山いたので、今後読む作品リストに加えて少しずつ履修していきたい。


