
中根龍一郎
@ryo_nakane
2025年3月14日

モモ
ミヒャエル・エンデ,
Michael Ende,
大島かおり
かつて読んだ
たぶん小学2年生だったと思う。私は父親から課題の本を与えられていて、毎日20ページ読むことになっていた(学年が上がるとともに、読むページ数は増えていった)。『モモ』もそういう本のひとつだった。一日20ページずつ読み進めていた話が、中盤からどんどん面白くなっていって、最後は一気に読んでしまった。これだけ厚い本を一気に読んだのははじめての経験で、驚いて、父親を呼びに行って、全部読んじゃった、と報告したのを覚えている。そこには一日20ページという決まりを逸脱してしまった、という、どこか「決まりごとの外に出たことの興奮と、物語に乗せられてそんな逸脱の地点まで運ばれてしまった、という衝撃とがあった。体も頭も疲れていた。その疲れもまた、なにかいけないことをしてしまったようで、快楽があるとともにどこか後ろぐらいような錯覚があった。『モモ』はそういう経験の思い出とともにある。
ジジが好きだった。そしてジジが好きだということは、ジジの挫折や弱さ、ジジの失敗や敗北、ジジの愛や物語についてまわる、きわめて壊れやすく、そして実際に壊れていってしまうものが好きだということでもあった。そういうふうに私はジジが好きだった。



