本読みの旅人 "生を祝う (朝日文庫)" 2026年2月28日

生を祝う (朝日文庫)
長年自分の中にある小さな反出生主義と向き合うことになった。単なる世界に対する悲観とか厭世だけでなく、人間の所有欲や支配欲への嫌悪感もない混じる。 解説で朝井リョウ氏も書いているように、人権意識の高まり、その行き着く先が本書で描かれる世界なのかもしれない。人権という概念を獲得してしまった人類は、バックラッシュを繰り返しながらも後戻りができなくなる。本書の世界では、胎児の意思を測定できると知ってしまった以上、それを無視して出産することに葛藤する。 ”自然”に反して進化し、繁栄を謳歌してきた人類なのに、時に”それは自然・生命に反している”と倫理観を持ち出してストップすることもある矛盾。 大衆男性が人権を獲得し、女性も遅れて人権を獲得し、同性婚が一部の国で認められ、、という歩みを否定したくない。ただ、何が正解なのか、私たちは知りすぎてしまったゆえに苦しんでいるのではないかと考えこんでしまう。 選択的夫婦別姓さえも遅々として議論が進まない日本では考え込むだけ無駄かもしれないが。
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