
水海
@minamimag
2025年3月5日

読み終わった
去年読んで1番面白かったエッセイ。
切実で等身大な日々なのに、その日々へのまなざしにユーモアがあってきらきらひかる。
この人は公園の泥をきれいで特別な泥団子にできちゃうような、そんな魔法が使える素敵な人なんだな、と思うし、自分の日々も少しきらきら見れる気がしてくる。
他の本も読みます



水海
@minamimag
好きだった文章
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一番手前に置かれた二段ベッドの上の段が私のスペースで、このなかに服も貴重品も本も調味料も夢も希望も詰め込まなければならない。ぎゅうぎゅうのきゅうきゅうだ。 — 渋谷寮の初夏
人並みに眠りたいって願うとき 御手洗い場はピカピカひかる — 仮眠と青山
深夜とは余白です。余白とはぼんやりです。余白の美しさ、素晴らしさをどうか手放さないで。深夜の映画館には、ぼんやりしているものだけが手にできる、きらめきがあります。— 眠らない夜のきらめき
気持ち良いです。危ないです。この手を話せば即死です。心の底から思います、これが自由だと。いつだって自由は危険の上で成り立っているのです。感動さえ覚えるほど、自由を感じている! 深夜十二時を超えて、ひとりでブランコを全力で漕ぐ大人ってどうなのだろと客観視するのは言語道断、もっての外でございます。自由とは主観なのです。 — ストレス解消法は、あります。
タイルの柄を見てみると意外なまでに繊細な色使いで、こころがほどけた。薄いむらさき色と薄いみどり色で描かれた小花柄のタイルはやけに可愛らしかった。男湯は違う花の絵なのだろうか。一生知ることのない答えを想像して、こころがはずむ。
誰かと比較すれば、どうしても自分のことを受け止められない。こんな体、こんな肌、こんな顔、嫌いだ。でも、比較対象のいないこの鏡の中で、限りなく生の自分と目があって、「いい顔してる」と言ってみる。
— 銭湯、限りなく、生
女の子夜道は危ない送ります君が好きですでも無職です
— 下北沢の北京料理屋にて
ジャングルジムの頂から見る夜空はすばらしい。スリルとロマンとバカバカしさのバランスが良い。今夜の月は黄色くて、半分で、暇そうだ。