
ほんむすびころりん
@honmusubikororin
2026年3月1日
ともぐい
河崎秋子
読み終わった
熊爪は自らが山の大将とも認めた赤熊との死闘の勝利後、あれほど自分の手で仕留めることを一心に望んだにもかかわらず、「なんでこんなことしたんだ。俺は」と後悔に近い空虚に駆られる。
物心ついた頃から山で育ち、獣を狩り血肉とし、いつかは自身も死んだら山の肥やしとなるのだろうと思っていた。
全てを懸け対峙した上で負け、命を落とすなら本望、とまで激って臨んだ相手が、自身が放った猟銃の弾を受け目前で倒れたとき、熊爪は"獣"と"人間"という明確な線引きをされたように全身で感じたのではないだろうか。
山と里を行き来する熊爪を介して、里に暮らす人間の狡猾さが浮き彫りにされる居心地の悪さを感じた。
