Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
きゅみ
@kyumiysd
  • 2026年10月6日
  • 2026年10月6日
    身体を記す
    身体を記す
  • 2026年9月25日
    涙の箱
    涙の箱
    あらすじ・概要 ある村に住む、何を見ても涙を流してしまうせいで「涙つぼ」というあだ名をつけ!られ、馬鹿にされていた子ども。そんな「涙つぼ」の元を訪ねてきたのは「世界中の涙を集めて売っている」というおじさん、そしてそのおじさんと共に旅をする「青い明け方の鳥」。おじさんは「涙つぼ」は特別な涙を持っていると言うが「涙つぼ」はいつでも泣いてしまう自分を恥ずかしいと思っている。これから涙を売りに行かなければいけない、というおじさんと一緒に行くことを決め、「涙つぼ」はおじさんと鳥と共に村を旅立った。 感想 元々ハン・ガンの文章がとても好きでいたがメンタルの不調で本を読めない時期がかなり長く続いて、これは本当に久しぶりに手に取った本だった。好きな作家の本で、かつ分厚くもなかったから。 わたしはどちらかというとすぐ泣いてしまう側の人間で、特に体調が悪化してからはそれもひどくなった。前はできたことができない、こんなに簡単なことが自分にはできない、どうしてこんなになってしまったのかわからない、と泣いてしまうこともよくある。 この本を読んで最初に泣いたのは序盤だった。前にも経験があるが、ハン・ガンの書く文章の美しさに触れて感動したのか癒やされたのか、自然と涙が出てきた。 旅の最後、2人と1羽はついに涙を買いたがっている人に出会う。それは「今までどんなに苦しく、辛く、悲しいことがあっても涙を流すことができなかった」お爺さんだった。 おじさんから涙を買い、それを飲みこんだお爺さんは長い時間涙を流し続ける。長い人生で今まで辛い時に流すことのできなかった涙が流れ続け、最後には今まで流せなかった嬉し涙を流し、お爺さんの涙は止まった。 買った涙を使い切ってしまったから自分はこれならも泣くことはできない、それでも今日泣けただけで嬉しかった、と言うお爺さんだが、おじさんは今の涙のおかげで「影の涙腺」が溶けたのでは?と問いかける。 「影も涙を流すんだ…私たちが気づかないだけなんだ。(中略)人によっては、目から流す涙より影が流す涙の方が多いんだ。周りから、または自分自身から『泣いちゃダメ!』という言葉をたくさん聞いて大人になった人たちだ。それに私たちは目頭が熱くなって、目の前がかすんできても、涙が流れない時がある。その時は、影の涙だけが流れているということなんだ」 今までどんなに苦しくても涙を流すことができず、そのせいで悩み続けてきたお爺さんは、実はずっと影の涙を流していたのだった。その苦しみに思いを馳せた「涙つぼ」がお爺さんを抱きしめた時、お爺さんは涙を買わずとも泣くことができたのだった。 あまりにも苦しみが大きいと涙を流すことすらできない人がいること、そしてその人は実際には泣いていなくても、外から見てもわからない苦しみを抱えていること。同時に、なぜ涙が出るのかわからないが泣いてしまう人がいること、その人も同様に悩んでいること。しかしどちらの人も、自分の流す涙や、他人が流す涙によって救われることがあること。 きっと「影の涙」は物語の外にいる私たちにもあって、それは大人になればなるほど、様々な経験をするほど、流れることが多くなるのかもしれない。 でも最後、おじさんが「涙つぼ」の愛に満ちた涙を綺麗だと言い、では私の涙はおじさんが期待していた、純粋なものではなかったの?と心配する「涙つぼ」に「純粋な涙とは何も入っていない涙じゃないんだ」「君の涙にはもっと多くの色彩が必要じゃないかな」と語りかけるとき、それは「涙つぼ」のこれからの成長を楽しみにすると同時に、あらゆる理由で涙は流れるし、流れるべきではない涙は存在しない、というメッセージにも感じられた。 中盤以降はなぜかはわからないけど涙が流れる場面が多く、特に「青い明け方の鳥」がお爺さんの笛の音を聴いて声を取り戻す場面は涙が止まらなかった。本当は音楽家になりたかったが目から涙を流すことのできない自分に人の心を動かすことなど無理だ、と諦めていたお爺さんの苦しみが救われたのと同時におじさんや鳥の心も救われたこと、またそれはきっとお爺さんが涙を流すことができたからだけではなく、自分は本当は影の涙をずっと溜めていたことに気づけたお爺さんがこれまでの自分自身のことも受け入れることができたからなのだろうと思った。 きっと私はこれからもたくさんの涙を流す。それらはおじさんによって何色の結晶になるかはわからないし、これを読みながら、理由のわからない涙もたくさん流れた。けれどこれを読み終えて、久しぶりに本を一冊読み終えることができた、私の病気は確かに良くなっているんだ、と思って流した涙は確かに喜びと希望の涙だったと思う。
  • 2026年9月25日
    涙の箱
    涙の箱
読み込み中...
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved