

書痴楽
@shochiraku
絵本から哲学書まで何でも読む乱読家。
- 2025年7月8日潤日(ルンリィー)舛友雄大読み終わった
- 2025年6月22日右腕を失った野球人(1)佐野慈紀読み終わった
- 2025年5月5日南三陸日記三浦英之読み終わった震災を故郷南三陸町で経験した者として読むことを意識的に避けてきた一冊。私自身が在宅避難者であったり、震災翌年に単身上京して以降郷里との縁が希薄になったこともあり、震災について振り返る時間を持たなかったものの、町に残した両親はじめ家族のことを考えUターンを意識するようになった今日、ようやく手に取ることができた。 1年という限られた期間、地元ホテルを拠点に町内はもちろん、主要取材先となったある家族の住む隣市に通った著者の目には、未曾有の災害に見舞われた地で必死に生きんとする人々がどのように映ったのであろうか。詳細はぜひ本書を手に取って確認してほしいところではあるが、あの災害を郷里で経験した私にとって、災害が生み出した悲劇だけでなく、そこに生きんとして必死に歯を食いしばる人々の姿はもちろんのこと、地方にあって都市にはない人々の精神的なつながり(それは震災後に流行した「絆」という言葉で表現できるのだろうが、私にとっては「普段からの『おかげさま』」という言葉の方がしっくりとくる)に起因する話題にも紙幅を割いてくれた著者に感謝の念が絶えない。 本書を読み進めている途中、不意にある言葉が脳裏に浮かんだ。同じ震災被災地であり、今年2月に平成以降最悪の山林火災に見舞われた岩手県大船渡市在住の方が発した言葉だ。 「大丈夫です、三陸の人は強いですから」 三陸の人々は粘り強く情に厚い。当事者である我々が忘れかけていたことを、本書を通じて思い出すことができたような気がする。
- 2025年4月3日民主党政権失敗の検証日本再建イニシアティブ読み終わった現行憲法下で初となる本格的政権交代を果たしながらも、3年3ヶ月という短命に終わった民主党政権。その失敗要因を当事者である民主党議員からのヒアリング・アンケート調査を交えつつ、多方面にわたり分析・検証したのが本書である。 世間では民主党政権の失敗を実現不可能なマニフェストに固執した結果だと単純化する風潮があるが、本書ではそうした見方を一定程度肯定しつも、その最大要因は党のガバナンス・マネジメント不全、特にマニフェストに記載されていない政策を総理案件として推し進めようとしたことによる党内対立・支持率低迷だと指摘している。 その一方、民主党政権が成し遂げた子ども手当の導入や公立高校学費無償化といった、自民党政権再登板後も継続または拡充された政策に先鞭をつけたことは肯定的に評価している。 政治資金問題で揺れ続ける自民党政権にあって、民主党の実質的な後継政党である立憲民主党は先の失敗をどう克服して政権与党として返り咲くのか、それとも他党に野党第一党の座を譲り渡してしまうのか。今夏に予定される参院選から目が離せない。
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