

朋@
@tomo_nemui
本を読んだり、一人でふらふらお出かけしたりしています。
幻想文学や怪奇小説、純文系や海外作品なんかが好き。
- 2026年8月17日
白墨人形 (文春文庫)C・J・チューダー読み終わった白墨人形、持ち去った人物、少女の正体など、あらゆる要素が絡み合って成り立つ物語の筋立てが大変面白く、大人も子供も変わらず持っているマイノリティである部分が物語全体に強く影を落とし展開してゆく謎の広がり方に夢中で読み進めました。 自分の予想は大きく外れてしまいましたが、強く読書の楽しみを感じさせてくれる作品。 同著者の作品をもっと読んでみたいと思います。 過去に遡ることは出来ないのに、人は歳を取ってから過去を埋め合わせようと躍起になって空回る。縋り付いて、その幻影に怯え、克服しようと醜く足掻く。 「あの頃とは違う」と自分に言い聞かせ、乗り越えられると信じ込んで。 - 2026年8月7日
沈黙博物館小川洋子(小説家)読み終わった画家を目指した非常勤講師の枯れるまで絞り出された絵の具、タイプライター占いをしていた老婆の意味不明な文字の羅列が印字された紙、耳を小さくする手術を行なっていた医師のメス。 どの形見にも物語はあるのだろうけど、小川さんが描く生と詩の物語の残酷で美しく静謐なことといったら。 おぞましくあるのにその機械的な冷たさと一枚皮を剥いだ舌から滲む赤が同時に存在していて、表裏一体の神秘性に酔い痴れるような。 その一方で頭の片隅にはずっと乳首を切り落とした犯人と一向に返事の来ない手紙の理由を追い求めていて、その姿形すらもあるべき所に収まる感覚。あぁ、良いものを読んだなぁ。 - 2026年7月10日
この本を盗む者は深緑野分読み終わった以前読んだ同著者の「オーブランの〜…」とは受ける印象がかなり違って、最初は随分とポップでファンタジックだなぁと思ったのですが、読み進めるうちに読書や書籍に特化した町が舞台になっているせいか、冷めることなくするすると読めてしまいました。 自分がもし小学生や中学生ならもっと強くこの物語世界にのめり込み、大好きな本の一冊になっていたんだろうなと思える一冊。 アニメ映画化もされているとのことで、確かに映像化は向いていそうだなぁと頷ける作品でした。 - 2026年7月4日
読み終わった様々な雑誌媒体で掲載された短編を集めた作品集。 星野源さんの楽曲や、おそ松さんモチーフの作品など意外性のあるものもあり楽しめましたが、個人的には一番乙一さんっぽいなと感じ好みだったのは「家政婦」。 幽霊が成仏する前に現れる屋敷にメイドとして勤めることになった女性と主人であるナイスミドルな中年作家、そして穏やかに笑う線が細くうつくしい息子。 コミカルな導入からミステリーへと移り、不気味で底の見えないとある少女の死に様を追うようになる展開はそこはかとなく魅力があり、淡々としながらも香る死の匂いはあの頃の乙一さんを思い出させます。 20年経った今でも楽しませてくれる氏の作品に感謝と懐かしさに浸れる良い読書時間でした。 - 2026年6月7日
天使佐藤亜紀読み終わった十九世紀初頭、特殊能力を持った少年ジェルジュ。養父の元から顧問官と名乗る男に拾われたことからウィーンに移り、能力を開花させ、国家間の陰謀と戦争に触れてゆく物語。 いつものことながらまるで海外作品読んでいるような錯覚に陥り、その重厚さ鋭さに痺れます。 見目麗しく、様々な語学や礼儀作法を身につけ能力を磨いたジェルジュへと訪れる受難、諦念、そして幸福。 ただやはり僕の頭脳では佐藤亜紀さんの作品は登場人物をメモしないとこんがらがる。このまま姉妹作「雲雀」へ。 - 2026年5月31日
ゴシックハート高原英理読み終わった書籍紹介やその視線の面白さや切り口の奥深さは十二分に楽しめたのですが、十代の頃に読んでいたらもっと違った感覚で受け入れられたんだろうなと強く感じました。 自己愛以上に他の場所や人から与えられる幸福や愛を知ってしまった三十代の自分からすると、どうしても「じゃあその先にあるものは?」と思ってしまうのも事実で 今自分で在る為に異端な感性と血のドレスと装飾された死だけを身近に置いている自己愛は痛いほど理解できるし、自分の中の厭世観や世界に対する認知の歪みが消え失せるなんてことはないけれど、それに殉じて寿命まで生きていける人が現実には何人いるのだろう。 歳を重ねる度に真っ白なレースは手垢に塗れて黄ばみ、一抹の寂しさと悲しみを感じながら、それでも手の中の日常の幸福には敵わないと感じてしまう。僕はそんなつまらない大人になってしまった。 - 2026年1月28日
目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)小林泰三読み終わった乱歩の名言「現世は夢、夜の夢こそまこと」。けれどもしこの現世そのものが劣悪で悲惨な世界を生きる人間が見ている夢だとしたら…という面白い設定のSFホラー。 幸福の形を現実の外に求める風潮は何十年も前からあるし、あらゆる情報が拡散・共有されるこの時代の"現実"に適合できない人が増えている、というのはままありそう。 あらゆる形の"夢"が科学や化学で実現できるようになりつつある世界で、将来僕たちが手に入れる幸福は現実か夢のどちらなんだろうと思ったり。 - 2026年1月27日
ダリの繭有栖川有栖読み終わった犯人や動機は大前提として、それ以外にも何故?という謎が大小問わず多く提示され、その全てが漏れなく綺麗に回収してゆく様は大変気持ち良かったです。 ただ、殺害された兄の死体を目前に、その罪が自分に降りかかるかもしれないという動転した状況描写をしながらも的確な隠蔽工作に勤しむに様には思わず笑ってしまいました。 本筋以外の部分ではたった30数年でここまで時代の、というか男性社会の特有の価値観は変わるんだなということに改めて驚かされた作品。 - 2026年1月17日
奇譚蒐集録清水朔読み終わった伝統の名の下に神の名を背負わされた兄弟と鉄輪を首につけられた少女。 何かを守るために祭り上げられ神の名を与えられることと贄になることの違いとは。 群がる人間に信仰があればまだ納得もできそうだけれど、利権や金が最優先になった時点で神なんて消え失せる。 それを薄々理解しているから、現代の日本では宗教というものに対して無感覚なのかも。 ただそれと同時に幸福を再定義してそれ以外を認めない状況に追い込むと、そりゃ簡単に安い神様も生まれるんだろうなぁ。 - 2026年1月17日
ヤイトスエッド吉村萬壱読み終わった生きれば生きるほど趣向は倒錯して先細りになるのに、性欲自体は衰えず、それに自ら振り回される人間の惨めなこと。 でも多分生きるって理性を持ってると勘違いしながら欲に振り回されること。結局自分を真ん中にして欲に流された方が楽なんだろうなぁ。 全体定的にやっぱり分からない部分の方が多いし、分かりたくもないなぁというのがシンプルな感想。 強く胸焼けする程度には清流だと気付いたので、しばらくは控えようかなと思います。 - 2026年1月11日
右園死児報告真島文吉読み終わった右園死児を冠したあらゆるものが引き起こす怪異の報告書。 魅力を放つネーミングとグロテスクで人智を凌駕する怪異の数々に興味を掻き立てられ大変面白く読んでいたのですが 右園を取り巻く世界情勢や日本での状態が提示され、兵器として扱われ始める中盤辺りから個人的には少し「ん?」となり、その後展開されるの異能力によるバトルは前半部分が嘘のように理由も心境もチープで急激に冷めてしまいました。 前半はとても面白く読めたので、もっと別な着地があれば…と、前半と後半の落差に残念な読後感を抱いてしまった作品。 - 2026年1月10日
奇譚蒐集録清水朔読み始めた
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