むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ

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- ひさ@hsysy2025年10月1日読んでる@ 自宅「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」 〜日本の昔話は親が子どもに語るお話であるはずなのに、老人が主役の物語がやけに多いと思いませんか? 西洋の昔話と比べるとこの傾向は特に顕著です。西洋の昔話では多くの場合、子どもが主人公です。〜立身出世の展開が多い傾向はあります。 対して日本の昔話はおじいさんとおばあさんがやたらと登場し、かつハッピーエンドも少ない。物語のスタートとゴールにほぼ変化がない話も少なくありません。p40 まんが日本昔話を毎晩見る生活に突入してから数年が経ちます。〜気づいたのが主人公が成長しないこと。多くの登場人物は成長も変化もせず、欲深いおじいさんは欲深いままで終わる。だから救いがない。悲惨な話も多数あります。 よくよく考えると年老いたおじいさんとおばあさんが出てくる時点で、そこから成長したり上昇したりする展開って難しいですよね。 p77 私たちは、マイナスからゼロへと言う上昇志向をすり込まれながら成長し、大人になっていきます。ゼロはプラスに向かうまでの通過点であって、プラスを積み重ねていくことにこそ、人生の価値がある。無意識のうちにこんなふうに考えている人は多いでしょう。けれども、『まんが日本むかし話』を見ると、日本人はいつの間にかゼロの価値を過小評価するようになったのではと考えてしまいます。ゼロは通過点ではなく、ゼロこそが1つのゴールと捉えることもできるはずなのに。p80 「にんげんっていいな」と言うタイトルのあの歌は、実は動物たちの目線から見た人間たちを描いたものです。では動物たちはどこを見て「にんげんっていいな」と思っているのかそれは「ごはん」や「おふろ」、「ふとんで眠る」ことをいいなと羨んでで いるのです。 〜その意味でご飯、お風呂、布団、このシンプルな三要素は、日本人にとってもゼロとも言えるウェルビーイングの原型と言ってもいいかもしれません。p81
- ひさ@hsysy2025年10月1日読んでる@ 自宅もちろん「ご飯、お風呂、布団」という生理的欲求のみで生きていけるほど、今の時代は単純ではありません。それでもあえてこの原則に立ち戻ったのは、「夢や目標を持ち、志をもっと高く!」と言う上昇志向の発想自体が、すでにある種のバイアスがかかった考え方であると気づくきっかけにもなるからです。 今よりもっと良い人生があるはずだ。そうした思考は確かに前と進む足がかりにはなりますが、前や上ばかりを見ているとすぐ目の前、今日一日のことを人間はおろそかにしてしまいがちです。やりたいことが見えなくてもいい。今日という日を味わって過ごし、いつでもゼロに立ち戻っていける自分を積み重ねていく日々にも、十分に価値があると言うことを心に留めておくと良いのではないでしょうか。p82 もう一つ、日本の昔話や落語の人気噺を見て特徴的だと思うのが「金持ちになりました。めでたしめでたし」で終わる話が西洋に比べると少ないことです。〜これは日本人はずっと昔から金持ちになることと、ウェルビーイングな人生を送る事は別問題だと理解していたからだと考えます。〜「ご飯、お風呂、布団」はお金で買えても、その先にある生きがいのようなものまでは買えません。〜お金は生活に安定をもたらしますが、絶対の幸福までは約束してくれません。p84