仄暗い物語、という印象を抱いていた。けれども今回の再読で、最後に煌めく光の姿を見てその印象が覆る。読み返すことは矢張り大切。

銅版画の中の世界に迷い込んだような気持ちになる。 煌めく鉱石のような文章。

＊読書で見つけた「読書（する人）」＊ 《経年による劣化の著しいシートには錆のような染みが点々と浮かび、それは自然と黄ばんだ古書の頁から漂いだすあのほのかな臭気をわたしに連想させた。》 — 山尾悠子著『ラピスラズリ』（2018年2月Kindle版、筑摩eBOOKS）