うたかたの日々

4件の記録
- CandidE@araxia2025年9月25日読み終わった読んでいるうちに、遥か昔に新潮文庫で、さらには岡崎京子の漫画も読んだことを思い出した。どこか懐かしい感触がよみがえる。 凸凹な倫理、不協和音のポップ化。構造や装置、デザイン感度を優先する美学。消費社会のガジェットの輝きにまとわりつく空虚。言葉遊戯と都市の雑居が生む即興のテンポ。そうした軽さと重さの二重奏が、久々に甘酸っぱく胸にひろがった。 ポップ・アートやヌーヴェルヴァーグ的な感性、自棄っぱちな気持ち。1940年代当時としては、紛れもなく先進的な作品である。もっとも、その前衛は私の初読時においてすでに古典だった。 そして今では90年代も00年代もポストモダンもすっかり古典となり、私もまた大人になった。複雑である。絶望を軽やかに弾ませ、崩壊を祝祭に変える想像力とその技法。現在の私自身の性分には合わないけれど、時代はそれを切実に必要としているのかもしれない。そんなことを思う。