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5件の記録
- サリュウ@sly_notsry2025年4月16日読み終わった"確かに僕も、仮に麻原彰晃が正気を取り戻したとしても、法廷の場で事件の真相が解明されるという全面的な期待はしていない。その可能性はとても低いと考えている。 でもだからといって、手続きを省略することが正当化されてはいけない。「期待できない」という主観的な述語が、あるべき審理より優先されるのなら、それはもう近代司法ではない。裁判すら不要になる。国民の多数決で判決を決めればよい。国民の期待に思いきり応えればいい。ただしその瞬間、その国はもはや法治国家ではない。" p.335-336 "「ふと思ったんですけど。なぜ麻原さんにこの世間は、……世間だけじゃなくてメディアや裁判所も含めて、普通の対応や処遇をしてくれないのか。特に最近は、彼に対してだけでなく、いわゆる極悪人全般に対して、とても重くて偏った処遇が普通になりつつあるような気がするんですが、……お二人はなぜだと思います」" p.354 いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……。キツい。下巻も読もう。
- サリュウ@sly_notsry2025年4月15日読んでる"「裁判員制度とか迅速化とか、現在法務省と最高裁が進めようとしている司法改革に、この裁判は大きな影響を与えます。これだけ大きな事件の二審がもしも二年以内に終わったなら、迅速化の大きな前例となりますよね。逆に言えば、この裁判が長引けば、法務省や最高裁にとっては、せっかく裁判迅速化法を成立させたのに、都合の悪い前例になるわけです。つまり裁判員制度導入のための地均しです。(後略)」" p237 ヒトラーが自害してしまった戦後ドイツでは、ヒトラー不在のなかすべての経緯や動機、説明や責任の所在を調査し、今後の立て直しを行うしかなかった。しかしオウムに関しては、松本智津夫(麻原彰晃)は生きている(生きていた)。だからこそ、適切な医療を介入させ答弁のできる精神状態にしなければいけない(いけなかった)。しかし当時の最高裁側、検察側、あるいは被害者側、国民側、社会側はそれを徹底的に許さなかったし、オウム信者や松本智津夫の子息たちにはあらゆる憲法が無視され続けた……。ということが淡々と描かれつづけていて、その端正な筆致と徹底的な取材能力に畏れ入る。いろんな感情が湧き上がって目頭が熱くなる。結局なにもかもがわからないまま死刑が執行されたいま読むとなおのこと堪える。ほんとに、社会は、世界は、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
- サリュウ@sly_notsry2025年4月14日読んでるすこし読むたび、あまりの情報量と鮮烈さとこの世の多面性に深いため息が出る。何度も本から目を離して、遠くを見て息を整えて読んでいる。わたしたちは麻原彰晃(松本智津夫)についてあまりにもなにも知らないし、知ろうとしていない。