文藝 2024年冬季号

文藝 2024年冬季号
文藝 2024年冬季号
文藝編集部
河出書房新社
2024年10月7日
4件の記録
  • Ryu
    Ryu
    @dododokado
    2025年5月7日
  • 買った… 文芸誌ハマりすぎだろ! 頑張ってよみきります!
  • 村崎
    @mrskntk
    2024年11月16日
    光のそこで白くねむる/待川匙 文藝賞受賞作。アルバイト先が突然の休業になった「わたし」が「あなた」の墓参りに故郷へゆく話。何度か読み直してやっと輪郭をつかめたような感覚。基本は「わたし」の語りがずっと続くけど、「あなた」であるキイちゃんの声が聞こえはじめて、現実と記憶があやふやになり、そもそも「わたし」って誰だっけ…というふと感じる不安。でも記憶が曖昧だけど描かれる情景はしっかり見えてくるので、なんだか夢のなかの景色みたいだと思った。このタイトルから私は希望のようなものを感じていて(光って入ってるから…?)、つまりこれは骨ということなんだと思うのだけど、かつていたかもしれない恐竜と、かつてそこにいた人間というのは実は大差がなく、どんな存在もあやふやでおぼろげで、誰かの記憶からも忘れられていくのかもしれなくて、でもそれは別に絶望じゃないのかもしれないというのを、「光のそこで白くねむる」というタイトルから感じた気がする。角田光代さんの選評に「たしかなことが何一つないからこの小説はすでに強い」とあって、すごく腑に落ちた。曖昧であやふやであることがこの作品を支えていて、だから一度だけでは掴めないし、読み返すたび違う様相が見えてくるのかもしれない ハイパーたいくつ/松田いりの 文藝賞受賞作。退屈とは退屈に屈して退くこと。「屈して退く運動を繰り返していくうちに狭いところへ入っていった」私はチームリーダーからペンペンと呼ばれている。仕事で盛大なミスをやらかしたにもかかわらず優しい素振りをみせるチームリーダーは逆に怪しい。遅刻の言い訳、インターナショナルスクールの窓にいきなり石を投げるなどの行動を内から語っていく文章は、読みづらさはないのだけど、油断してると(してなくても)「いま何が起きた!?」ってなる。チームリーダーが「私」の60万円以上のジャケットを急に羽織り出し弾けたボタンを食べちゃうし。財務部の人たちがフラッシュモブみたいなことをしはじめるのはおもしろかった。 現実をがんがん突き破っていくまったく予想できない展開は、(ここ笑っていいところなのかな?)という気持ちにもなるのですが、むしろそう思うことこそが、退屈に屈して退くことを繰り返してきた「ハイパーたいくつ」状態なのかもしれない。つまりこの作品は「たいくつ」の解放となる……!?「どうしてこうまで人であらねばならぬのか」という一文が印象的で、どんな姿であれ「私」は屈して退いていたところから大ジャンプを成功させている。「ハイパー」は最初めちゃくちゃ退屈!という意味だと思っていたのですが、「たいくつ」を飛び越えてゆくという意味でのハイパーなのかなと思いました
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