禁断の罠
9件の記録
橘海月@amaretto3192025年5月10日読み終わった#ミステリ六人の著者によるアンソロジー。 新川帆立「ヤツデの一家」政治家の父を持つ真実が後妻の連れ子の渉と関係を持ち、自分と違い美しく華奢な妹と渉の関係に嫉妬する。父親に「お前はヤツデのようだ」と言われた真実が下した決断とその後の展開が切ない。著者の傑作『女の国会』を彷彿させる物語。 結城真一郎「大代行時代」主人公は銀行で働き8年になる。新人の内海さんはできる子だったがGW開けに退職代行で辞め、もう一人の新人猪俣君は覇気がなく自ら質問せず人の背後に立ち気づかれるのを待つ…。友人の香奈子は「いまは大代行時代」と言う。猪俣君の行動が終始理解できずそれがまたリアル。 斜線堂有紀「妻貝朋希を誰も知らない」箱庭のようだと感じる物語がある。フィクションなのに、本当にその場所が人がいるかのような。宮部みゆきや恩田陸が有名だがこの話もまさにそうだと感じた。朋希の話をする同級生、バイト先の人、彼らの語りが朋希の輪郭を浮き立たせ、独白で全容が明らかになる。 米澤穂信「供米」詩人小此木春雪の遺稿集が出され、友人である主人公は内容に疑問を呈す。生前の彼なら絶対に許さなかったはずなのに。春雪がどういった人物であったか、萩原朔太郎や室生犀星らの時代の雰囲気が再現され、鮨の会話など当時の若き詩人の姿がこうであったろうと思わせられる。 中山七里「ハングマンー雛鵜ー」復讐代行に関わる比米倉はハッキングに長け情報収集が専門、大学生でもある。後輩の久水が金に困っていると聞いた後、彼が闇バイトで強盗を行い殺害されたと聞き…。苦学生が犯罪に手を染める過程とその後が救いがなく苦しい。元シリーズの復讐代行が読みたくなった。 有栖川有栖「ミステリ作家とその弟子」今時にしては珍しく弟子入りを希望する青年清雅と作家慶之助。彼らのレクチャーをドア越しに聞く編集者。昔話の疑問を上げつつオリジナルな物語を紡ぐ手法は、編集者でなくとも興味深かった。それだけにその後の展開と意外な引き伸ばしの理由が生きる。まさかそうきたか!







