大穴

4件の記録
- 駄駄野@enmr3102025年9月20日読み終わった洗練された料理を食べて、満足した時の感慨に近い。 ハードボイルド小説というのか、派手な事件もトリックもない。主人公は靴底を擦り減らしながら地道な捜査で、卑怯なやり方で競馬場を潰そうとする連中を追い詰めていく。 本作の面白みの一つが、主人公シッド・ハレーに注がれる周囲の視線にある。 ハレーはかつては一流騎手として華々しい戦績を誇った人物で、それだけでなく探偵社に勤務するうちに探偵としての観察眼も鍛えていた。だけど、競馬にさほど興味のない敵は、身長169cmほどの彼を「学のない、左手の不自由な小男」として侮る。ハレー自身も、敵が自分を侮るその視線を利用して、敵の懐に飛び込み証拠を掴んだりする。 作中内の人間関係も魅力的。顔に大きな傷がある女性が、左手に大きな傷のあるハレーとの交流を通して、自身のコンプレックスを乗り越えていくところとか。 あと嘉納治五郎は気づいた瞬間爆笑した。
- 舳野@henomohe2025年7月26日読み終わった面白かった。競馬の事故ですべてを失った主人公が破局した妻の父によって新しい人生を見つけるまでの話。 心の底にある競馬への愛情が不正への怒りをかきたてて探偵の仕事に乗り出す過程がテンポよくて読みやすい。顔に傷のある女性を成り行きで励ます内に自分も傷のため隠していた手を外に出すようになるのもよかった。最後の別れは切なかったけれど爽やかでした。