白いしるし(新潮文庫)

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- まさもち@masamochi2025年7月17日読み終わった読書日記この小説は190ページという短い中で恋愛の酸いも甘いもどちらも表現された、「恋」が凝縮されたような小説だった。(ちょっと酸いの部分が多かったかな笑) 特に私がこの小説の中で注目したのは題名にもある「しるし」という言葉だ。直接本編にこの言葉が出てくるわけではないが、度々「しるし」を思わせるものが登場する。ある人にとっては体の傷だったり、生き物だったり、絵の具だったり、物語の中で「しるし」は誰かを思い出すためのものとして描かれる。本来何でもない「モノ」がその人との思い出で、特別になるというのは恋愛においてはよくある話しだが、この物語に出てくる「しるし」はもっと狂気的なものに感じた。特に、絵の具に関しては狂気的な場面がしっかりと描写されているのでぜひ読んで欲しい。