世界をまどわせた地図

2件の記録
- 高卒派遣社員@hidari_s2025年4月3日読み終わった古書店の息子として生まれた古地図の愛好家が手がけた一冊。 ヨーロッパ諸国が世界に向かって航海を続ける中で、"発見"したとされる国、島、都市、大陸などが地図に書き込まれる。それらの"発見"は当時知られていた世界を大きく拡大し、未開の地のさらにその先への想像力を掻き立ててきた。 一方で地図に書き込まれてきたものの中には、伝説、伝承、誤解、でっちあげられたものも少なくなかったという。そこには人々の信じたいという願いや、一儲けしてやろうという欲望が透けて見える。 中世から19世紀にかけての冒険家や地図製作者が世界をどのように捉えていたのか。130点以上の美しい地図の図録を交えながら、いかに人々が惑わされてきたのかを知ることができる。 現代の視点から見れば荒唐無稽な地図のオンパレードなのだが、地球平面説を紹介したページを眺めていて、これは他人事ではないと背筋が伸びた。そもそも地図が間違っているなら、どれだけ世界を正しく捉えようと努力したところで迷走するしかないのだ。陰謀論で分断される2020年代に重要な教訓を与えていると思った。 一枚の間違った古地図から学べることはあまりにも多い。